神経サルコイドーシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 10:24 UTC 版)
「サルコイドーシス」の記事における「神経サルコイドーシス」の解説
サルコイドーシスの中で神経系に病変が認められるものを神経サルコイドーシスという。神経症状は全サルコイドーシスの5%程にのみ認められる、比較的な稀な合併症である。神経サルコイドーシスの約50%は神経症状を初発とするため、診断が難渋する場合が多い。長期観察では、神経サルコイドーシスの90%が神経系以外の臨床症状を示すと報告されている。剖検例では25%程の無症候性サルコイドーシスが認めらる。逆に神経サルコイドーシスの20%程度は全身性の症候を欠く英語: isolated sarcoidosisである。血管壁と軟膜が神経サルコイドーシスの初発と考えられている。病変の進展メカニズムとしては軟膜や血管壁の肉芽腫によって、血液脳関門の破綻が発生し、血管周囲腔(Virchow-Robin腔(英語版))に肉芽腫が侵入し、血管周囲腔に沿って脳実質に進展してゆくと考えられている。血管周囲腔が脳底部で特に大きいため、視床下部、第三脳室、視神経、脳幹から出る脳神経(特に顔面神経)が、障碍され易いと考えられている。その過程や肉芽腫性血管炎によって虚血性変化、脳梗塞も起ると考えられている。中枢神経系では神経サルコイドーシスの肉芽腫性病変は軟髄膜、脳神経、脳実質などに認められる。脳脊髄液循環障害により水頭症をきたすこともある。神経サルコイドーシスは単一の神経障害ではなくいくつかの神経症候を併発することが多い。頻度の多い順に脳神経障害、頭痛、末梢神経障害、運動失調、筋力低下、めまい、認知機能障害、髄膜炎、痙攣、意識障害、水頭症、筋症となる。
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