神経ガスの発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 10:20 UTC 版)
1936年12月23日、シュラーダーの研究グループが偶然発見したのが最初である。このグループによって発見された神経ガスはG剤と呼ばれている。 IG・ファルベンに所属するシュラーダーは、1934年からレバークーゼンの研究室で新しい殺虫剤を開発する仕事をしていたが、その際にタブンを合成した。 殺虫実験では、タブンは非常に強い効果を示した。5ppmのタブンが葉についたシラミを殺すことが確認された。そして1937年1月、シュラーダーは研究室の作業台にこぼした1滴のタブンが人間に対しても作用することを確認した。数分で実験助手が縮瞳、めまい、激しい息切れを起こし、完全な回復には3週間を要した。 1935年にはナチスにより軍事的に重要な発明はドイツ陸軍省に届け出なければならないという法令が出されたため、1937年5月にシュラーダーはタブンのサンプルをベルリンのシュパンダウにあるドイツ陸軍省の化学兵器部門に送付した。その後ベルリンのドイツ国防軍化学研究室でシュラーダーによるデモンストレーションが行われ、シュラーダーの持つ特許と関連する研究が機密扱いとなった。化学兵器部門の責任者であるリュディガー (Rüdiger) 大佐は軍事研究を進めるため新しい研究室の設立を命令し、シュラーダーもすぐに新研究室に移動した。新研究室はルール渓谷のヴッパータール=エルバーフェルト (Wuppertal-Elberfeld) に設立されたが、この研究は第二次世界大戦中は機密扱いとなった。 3つの化合物サリン、ソマン、タブンは新研究所で化学兵器として開発されたが、実戦で用いられることはなかった。シクロサリンは終戦後の1949年に開発された。
※この「神経ガスの発見」の解説は、「神経ガス」の解説の一部です。
「神経ガスの発見」を含む「神経ガス」の記事については、「神経ガス」の概要を参照ください。
- 神経ガスの発見のページへのリンク