しんけい‐せんい〔‐センヰ〕【神経線維/神経繊維】
神経繊維
神経繊維
(神経線維 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/27 04:55 UTC 版)
神経細胞 |
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神経繊維(しんけいせんい、英: nerve fiber)または神経線維は、神経細胞の細胞体から延びる細長い突起で、神経細胞の軸索(じくさく、英: axon)と神経鞘の総称である[注釈 1]。生物学では神経「繊維」、医学では神経「線維」を使い分けることが多い[1]。
顕微鏡像で軸索部分が白い(主として軸索に巻き付くグリア細胞のもつ脂質が白いことが原因である)ことから「神経繊維」と呼んでおり、神経をマクロ的にとらえた表現であり、神経細胞の部位を指す語句としてはほとんど用いない。神経繊維は活動電位の伝導に加え、神経終末と細胞体との間の物質交換に役立っている。肉眼で確認できる「神経」は、神経繊維の束(神経繊維束)とその周囲の結合組織からなる。

分類
末梢神経の神経繊維は髄鞘の有無(有髄神経繊維、無髄神経繊維と呼ぶ)、直径、伝導速度等で分類される。下表で判る通り、有髄神経繊維と無髄神経繊維では有髄神経繊維が、同じ種類の神経繊維間では直径が大きい方が伝導速度が速い。前者は跳躍伝導、後者は電気緊張電位の広がりの違いによる。
一般に、骨格筋運動と付随する固有感覚、部位のはっきりした皮膚感覚は伝導速度の速い神経繊維を、交感神経活動や鈍痛などは伝導速度の遅い神経繊維を利用して伝えられる。
分類 | 髄鞘 | 平均直径(μm) | 平均伝導速度(m/s) | 役割 |
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Aα | 有 | 15 | 100 | 骨格筋や腱からの感覚、骨格筋の運動 |
Aβ | 有 | 8 | 50 | 皮膚の触圧覚 |
Aγ | 有 | 8 | 20 | 筋紡錘の錘内筋運動 |
Aδ | 有 | 3 | 15 | 部位が比較的明瞭な皮膚の温痛覚 |
B | 有 | 3 | 7 | 交感神経の節前繊維 |
C | 無 | 0.5 | 1 | 交感神経の節後繊維、皮膚の温痛覚 |
感覚神経(求心性神経)では次の分類が用いられることもある。
分類 | 髄鞘 | 平均直径(μm) | 平均伝導速度(m/s) | 感覚 |
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Ia | 有 | 15 | 100 | 筋紡錘 |
Ib | 有 | 15 | 100 | 腱器官 |
II | 有 | 9 | 50 | 筋紡錘、皮膚触圧覚 |
III | 有 | 3 | 20 | 部位が比較的明瞭な皮膚の温痛覚 |
IV | 無 | 0.5 | 1 | 鈍痛、内臓痛 |
異常
神経繊維は様々な状況で損傷し、ヒトを含む動物の機能を損なう。外科的に治療出来る場合もあるが、根治出来ないこともある。
脚注
注釈
- ^ 経鞘を持たない場合は、軸索のみを指す
出典
- ^ Company, The Asahi Shimbun. “神経繊維vs.神経線維――世界大戦下の神経戦(上) - ことばマガジン:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2023年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月1日閲覧。
関連項目
外部リンク
「神経線維」の例文・使い方・用例・文例
- 手術中に大きな神経線維腫が見つかった。
- 神経線維腫症は遺伝子の病気だ。
- 神経線維は樹枝状分岐を呈する
- 大脳皮質の外側に由来しそれに向かって伝達していく神経線維または刺激の
- 運動のエフェクターに向かう神経線維、または刺激に関連する
- 病気は神経線維を脱髄した
- いくつかの神経線維の軸索の周りでさやを形成する物質に関連するさま
- 神経線維の分布
- いくつかの長く細長い細胞(特に筋肉繊維または神経線維)
- 神経での個々の神経線維の周りの繊細な結合組織
- 脊椎から腹側へ通り、運動神経線維から成る脊髄神経の二つの神経根のうちの一つ
- 神経線維の周りの薄い膜のさや
- それを供給する筋肉と神経線維間の接合
- 脳を通じてある道筋をたどる有髄神経線維の束
- 抗原、抗体、ホルモン、薬品に対して特異受容体を有する、あるいはウイルス、食細胞または神経線維などによる接触の焦点となる細胞のいずれか
- 神経線維の周りのミエリン鞘の発達
- それらの機能障害をもたらすいくつかの神経線維のミエリン鞘の損失
- ある神経線維の周りのミエリン鞘の損失にかかわる慢性の進歩的な神経障害
- 多数の神経線維腫、皮膚の発疹、またしばしば発達の異常により特徴づけられる常染色体優性疾患
神経線維と同じ種類の言葉
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