軸索誘導
軸索誘導
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/25 17:12 UTC 版)
軸索誘導(じくさくゆうどう、英: Axon guidance)は、神経系の発生段階において、正しい神経回路形成を行うのに重要なプロセスである。神経細胞から伸びた軸索は、神経結合を成立させる標的細胞付近まで適切に伸長しなければならない。この間、たとえば脳の神経細胞ではせいぜい数ミリから数センチ程度でよいが、脊髄の運動神経などの場合、脊髄後根神経節に位置する細胞体から指先の筋肉の運動神経終板まで、ヒトでは1m近く、他の大型哺乳類では数メートルにも及ぶ距離を、適切に誘導されなければならない。この誘導を軸索誘導Axon guidance(軸索ガイダンス)という。
- 1 軸索誘導とは
- 2 軸索誘導の概要
軸索誘導
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 14:37 UTC 版)
神経系の発達の際、軸索の移動標的や経路に由来する分子的ガイドによって軸索に指示が与えられ、神経細胞の連結のパターンが確立される(軸索誘導)。Eph/エフリンシグナル伝達は、主に移動中の軸索の成長円錐の生存の低下とEph/エフリン活性化部位からの反発によって、標的への軸索の移動を調節する。この成長円錐の生存の低下による反発機構はEphとエフリンの相対的発現レベルに依存している。標的細胞にEphとエフリンの発現勾配が存在する場合、自身が発現しているEphとエフリンの相対的レベルに基づいて軸索の成長円錐の移動が指示される。典型的には、EphAとEphB受容体による順行性シグナル伝達は成長円錐の崩壊を媒介し、エフリンAとエフリンBを介した逆行性シグナル伝達は成長円錐の生存を誘導する。 Eph/エフリンシグナルが発現勾配に従って移動中の軸索に指示を与える能力は、視覚系におけるレチノトピックマップの形成によって裏付けられており、Eph受容体とエフリンリガンドの双方の発現レベルの勾配によって正確な神経投射マップが確立される(エフリンも参照)。さらに、Ephは中枢神経系の他の領域でもトポグラフィックマップ(位置特異的な神経投射マップ)の形成への関与が示されており、中隔野(英語版)と海馬の間の投射の形成は学習や記憶に関与している。 トポグラフィックマップの形成に加えて、Eph/エフリンシグナル伝達は脊髄における運動神経軸索の適切な誘導にも関与することが示唆されている。運動神経の誘導にはいくつかのEphとエフリンが寄与するが、エフリンA5(英語版)による逆行性シグナルが運動神経の成長円錐の生存に重要な役割を果たし、EphAを発現している軸索に対する反発を開始することで成長円錐の移動を媒介する。
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軸索誘導
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/04 17:53 UTC 版)
中枢神経系の発生過程において、Eph/エフリンシグナル伝達はいくつかのタイプの神経軸索が標的部位への細胞間接触を介して移動する際に重要な役割を果たしている。Eph/エフリンシグナル伝達は、軸索の成長円錐の生存を阻害する能力によって、移動中の軸索のEph/エフリン活性化部位に対する反発を引き起こすことで、軸索誘導を制御する。移動中の軸索の成長円錐は、接触している細胞のEphやエフリンの絶対的レベルに対して単純に応答するのではなく、Ephとエフリンの相対的発現レベルに対して応答する。その結果、Ephまたはエフリンのいずれかを発現している軸索は、標的部位のEph/エフリン発現勾配に従って、軸索の成長円錐の生存の完全な阻害が起こらなくなる地点へ向かって移動することが可能となる。 Eph-エフリンの活性化は通常、成長円錐の生存の低下と移動中の軸索の反発と関係しているが、近年では成長円錐の生存は単にEph-エフリンの活性化に依存しているのではなく、Eph受容体による順行性シグナルやエフリンリガンドによる逆行性シグナルが成長円錐の生存に及ぼす影響の差に依存していることが示されている。
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