末梢神経の正常組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 03:01 UTC 版)
腓腹神経の検体では正常では有髄線維、無髄線維、シュワン細胞、結合組織が認められる。有髄線維の大部分は感覚線維であり、長径分布は大径(直径7〜12μm)、小径(長径1〜4μm)の2峰性であり、密度は6000〜10000/mm2の間にある。腓腹神経では大径線維が35〜45%を占め、小径線維が55〜65%を占める。無髄線維は感覚線維と交感神経節後線維で割合は7対3である。1峰性の分布(長径0.1〜2.0μm)をとり密度はほぼ20000〜40000/mm2である。軸索変性後はsproutsが多数無髄線維として認められるため線維密度が増加する。無髄線維は有髄線維の約4倍存在する。髄鞘はG-ratioで評価される。G-ratioは神経全体の直径に対する軸索の直径であり0.6〜0.7くらいで良好な神経伝導がえられるとされている。しばしば神経周膜下に線維芽細胞や基底膜の残骸やコラーゲン繊維などを含むルノーボディが認められるが病的異議は乏しいとされている。 また腓腹神経では加齢性変化も知られている。加齢にともない結合組織が増えて神経内鞘の面積が増加し、実数は減っていないのに密度が低下する。大径有髄線維が高齢になると減少する。70歳代は30歳代の70%に低下するといった報告や80歳代は20歳代の54%程度といった報告もある。また加齢に伴い神経周膜基底膜が肥厚し、内鞘血管のヒアリン化が目立つ傾向がある。神経病理学 髄鞘の成分は中枢神経と末梢神経で異なる。中枢神経のミエリンの主成分はミエリン塩基性タンパク質(英語版)(MBP)とミエリン・プロテオリピドタンパク質(英語版)(PLP)であるが、末梢神経のミエリンの主成分はP0とP2である。 中枢神経系末梢神経系髄鞘を形成する細胞 オリゴデンドログリア シュワン細胞 MBP 30-40% 5-15% PLP 50% - MAG 1% <1% CNP 4-5% <1% P0 - >50% P2 - >5-20%
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