県営緑丘住宅裏
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「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」の記事における「県営緑丘住宅裏」の解説
安佐南区八木三丁目は死者41人と飛び抜けて被害を出している。その中でもっとも被害を出したのが県営住宅裏の土石流である。巨石も動かす大量の土砂が流出した土石流が複数回起こったことで被害を大きくした。 緑井八丁目(左側、死者4人)と八木三丁目(右側、死者41人)周辺。県営住宅より右が八木三丁目になる。 黄が県営緑丘住宅裏の土石流を示す。他の色は上記と同様。 2009年 2014年8月28日、災害から8日後 2016年 2014年8月23日、被災から3日目 2017年3月 遠景。右上が阿武山山頂。その下付近が本流の源頭部になる。 2014年8月23日、被災から3日目 2017年3月 本流の源頭部の標高約425メートルで渓流出口の家屋の標高約60メートル、流路長約980メートル、平均勾配約20°。これに標高約230メートル・標高約215メートルの2つの支流からも発生している。土石流が発生していない支流もある。 土砂災害警戒区域指定なし、砂防ダムなし、保安林指定なし、流域には2か所採石場跡地があった。 土石流は少なくとも3回発生したと考えられている。第1波は渓流出口の家屋から約130メートル上流で氾濫し、家屋手前の勾配がやや緩くなる付近で勢いを止め、家屋上流側に土砂を堆積した。第2波は、第1波が作った堆積土砂の左側(南側)を通って渓流出口の家屋付近で氾濫し、県営住宅の下側(東側)に流出した。第3波は、第2波が作った流路を伝って県営住宅9号棟の上流側で氾濫し、さらに下側へと流出した。写真から分かる通りもともとは宅地だった。 土石流のシミュレーションでは、平均速度は秒速約9メートル(時速約32.4キロ)、最初の土石流発生から宅地に43秒、源頭部から宅地に96秒で達したという結果になった。土石流発生がわかったとしても、午前3時台という時間帯もあり住民の避難は困難であったと考えられている。 流出土砂は大部分が花崗岩起源のまさ土と礫、一部に流紋岩や付加体の礫。パイプフローの痕跡や水分を含んで粘土化したまさ土が流出していることから山に地下水が満たされていたことがわかり、4メートルを超える巨石が県営住宅の下側にまで流出していることから相当のエネルギーを持った土石流だったと考えられている。推定流出量は3万3,000m3で、この土砂災害の中での1渓流あたりで最大の流出量であると推定されている。 上流部に家が数件残っているがそこでは死者は出ていない。鉄筋コンクリート造の県営住宅は損壊していないが、入居者2人が亡くなっている。 八木用水が土砂受けとして機能を果たしたため、泥流がこれ以上拡散しなかったと考えられている。ただ泥流はその先のJR可部線・可部街道を超えて流出している。地図下側のJR可部線と可部街道上の犠牲者は、その2つの下を通る用水路に土砂で埋まった状況で発見された。JR梅林駅周辺では、泥流はさらに国道54号を超え、第一古川寸前まで到達している。 左隣の緑井八丁目の下側は少し台地状であったためほぼ土石流被害にあっていない。ここは旧家そして梅林が多い(八木#名所・旧跡)特徴がある。 なお、県営緑丘住宅は復旧工事を進めながら、2015年2月21日から再入居が始まっている。
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