直木とマキノ省三とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 直木とマキノ省三の意味・解説 

直木とマキノ省三

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 23:44 UTC 版)

直木三十五」の記事における「直木とマキノ省三」の解説

直木三十三と名乗っていたころ、マキノ省三の家に居候していた。当時中学生だったマキノ雅弘は、なぜ直木が家にいるのか分からなかった。マキノ雅弘は、「小学校三年までしか学校行っていない父が、直木早稲田中退というだけで、しかも在学中には自分ファンだった澤田正二郎同級だったということもあり、直木のことをよく聞いて居候させていたのだろう」と語っている。 このころ直木は朝から晩まで着物をぞろりとひっかけるように着て、雅弘をつかまえると「おい、マサ公」と決まって用をいいつけた。金もないのに「スリーキャッスル(煙草)を買ってこい」といい、「おっさん、金がない」と答えると「盗んで来いッ!」と怒鳴るような人物だった。雅弘は「生意気ながら、早稲田大学中退程度大した人だとは思わなかった」と語っている。 直木1925年大正14年)に菊池寛を頭に連合映画芸術家協会設立して映画製作乗り出した資金全てマキノ省三に出させていた。映画人からは「作家ゴロ」「映画ゴロ」と陰口たたかれ、雅弘は「直木三十五って男は活動屋(映画制作関係者蔑称)のブローカーになり下がった奴で、金が欲しいだけで何も書かない作家だ」と人から教えてもらったという。1926年大正15年)の『山賊』はマキノプロ施設資金撮り直木はただタイトルを出すだけで金を取っていた。雅弘は「文芸作家協会と言う人達は、恥ずかしということ知らない人たちばかりだと真面目に思ったのである」とも述べている。 直木はのちに「大衆文芸同人」と名を改め連合映画芸術家協会と同じ陣容で『野火』を製作。マキノ雅弘は「大衆文芸同人聯合映画芸術家協会も、相手活動屋だとタカくくって食い物にしていたようだ連中振り回されて、マキノは、せいぜいどっかの雑誌屋の宣伝のための映画を客に見せていたのではなかったろうか」としている。 片岡千恵蔵直木紹介マキノ入社するが、直木初め脚本書いたのが千恵蔵主演の『烏組就縛始末記』であり、以来直木千恵蔵くっつきすぎていて、マキノ省三千恵蔵をやや敬遠していた。千恵蔵翌年マキノ脱退するが、雅弘は「今こそ云えることだが、直木という男は三十五になるまでマキノから銭だけ取って何もしなかった人であり、そんなタカリ専門の男からの個人的な紹介であったことが---当然ながら最初からマキノ不信感を買うことになり---千恵蔵の不幸であった」とこのスタア脱退について語っている。 マキノプロ大作忠魂義烈 ・實録忠臣蔵』は当初直木がどうしても原作を書かせろと云って聞かず結局は一行書けなかった。そこでマキノ省三直木連合映画芸術家協会からこの作品切り離すため「實録」と銘打った直木反感持っていたマキノ夫人知世子もこの「實録」には喜んで協力している。マキノ省三失火の後病臥しても直木見舞いもなく、撮影所からぱったり姿を消した。 雅弘は「当時私たち若いマキノ連中は、とにかく衣笠貞之助伊藤大輔二川文太郎井上金太郎らの先輩追いつけ、追いつけで、現場で走り回りがんばったのだったの前で字を書いてホン作り映画芝居河原乞食---つまり私たち---をおだてて金儲けをし、偉くなられた芸術家』の先生とは同じ志を持たなかった。少なくとも、『芸術』とは読むもんで、見るもんじゃないと私たち思った」とし、「直木賞ができたときには何やこれと首をかしげた、直木三十三から三十になってもついに彼の名作らしいものを全く知らなかった愚かな私は現在も続いている直木賞に、いったいどんな値打ちがあるのかと首をかしげずにはいられないのである」としている。

※この「直木とマキノ省三」の解説は、「直木三十五」の解説の一部です。
「直木とマキノ省三」を含む「直木三十五」の記事については、「直木三十五」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「直木とマキノ省三」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「直木とマキノ省三」の関連用語

直木とマキノ省三のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



直木とマキノ省三のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの直木三十五 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS