登場する火器について
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「ラストサムライ」の記事における「登場する火器について」の解説
エドワード・ズウィック監督は1989年に南北戦争を題材とした『グローリー』を手掛けた事もあり、明治維新から西南戦争ごろまでの日本(1868-1877年)を舞台とした本作でも、大日本帝國陸軍の軍装品やプロップガンの選定にはかなりのこだわりが見られ、欧米で入手可能なレプリカモデルや現存実銃の制約から一部に史実との違いがみられるものの、南北戦争や普墺戦争終結により大量の在庫が生じた事が要因となり、欧米の武器商人の手で幕末の日本に大量に持ち込まれた前装式のミニエー銃(マスケット銃)、そして欧米の後装式小銃を参考に村田経芳が日本独自のボルトアクションとして開発した村田銃へと変遷していく小銃史と、旧装備を佩用した旧時代の武士の軍勢が新式の装備の国民軍に善戦空しく敗れ去っていく陸戦史が共に比較的正確に描写されている。 オールグレン達将校や下士官が用いる回転拳銃はコルトM1871/1872 オープントップ(英語版)、コルトM1873 シングルアクション・アーミー、S&W M3 スコフィールド(英語版)、レミントンM1858 ニュー・アーミー(英語版)など、黒色火薬リムファイア弾の拳銃が用いられている。ウェブリー・リボルバーや二十六年式拳銃などのセンターファイア弾(英語版)の中折れ式回転拳銃の登場は、この時代よりももう10年ほど後になってからである。 米国からお雇い外国人として草創期の帝國陸軍に関わった外国人騎兵達はウィンチェスターM1873を佩用している。実際に幕末期の日本に輸入されたレバーアクション(英語版)騎兵銃は、ヘンリー銃やシャープス銃、スペンサー銃、マルティニ・ヘンリー銃等であるが、ウインチェスター銃は戊辰戦争や西南戦争を描いた歴史ドラマでも幕府陸軍や不平士族側の銃としてしばしば登場し、米国の西部劇映画でもヘンリー銃などの代用として用いられる事が多かったものである。 草創期の帝國陸軍(官軍)の一般兵が用いる小銃は、実際に幕末期にスプリングフィールド銃やエンフィールド銃の名称で知られたスプリングフィールドM1861やエンフィールドM1853が用いられている。ミニエー銃に分類される両銃は西南戦争でも西郷軍側で用いられたものであるが、西南戦争で帝國陸軍が用いた後装式改造のスナイドル銃はレプリカを製造しているメーカーが存在しない為か、本作には登場しない。 作中後半でオールグレン達サムライの軍勢と対決する帝國陸軍兵(鎮台兵)はマウザーM1871や同銃の八連発式改良型のマウザーM1871/84を装備している。史実では幕末の日本にはドライゼ銃やシャスポー銃が輸入されており、西南戦争の3年後にグラース銃やボーモント銃を参考に村田経芳が開発した明治十三年式村田単發銃が登場し、後に連発式の明治二十二年式村田連發銃へと発展しているが、制作時点ではこれらのボルトアクション小銃のレプリカモデルを制作している銃器メーカーが存在せず、特に明治の帝國陸軍の象徴的な装備でもあった村田単發銃や村田連發銃は、今日でも日本はおろか有坂銃の維持保存活動が盛んな米国内ですら実銃の入手や実射が非常に難しい事から、比較的単発・連発双方の村田銃と外見や作動形式が近く、単発銃と口径がほぼ同じマウザーM1871やM1871/84が敢えてプロップガンとして選定されたものとみられる。 作中後半の帝國陸軍は重火砲としてM1841榴弾山砲(英語版)やガトリング砲を使用している。ガトリング砲は史実でも帝國陸軍が輸入しているが、明治初期の山砲は史実ではフランス製の四斤山砲である。
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登場する火器について
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「ラスト サムライ」の記事における「登場する火器について」の解説
エドワード・ズウィック監督は1989年に南北戦争を題材とした『グローリー』を手掛けた事もあり、明治維新から西南戦争ごろまでの日本(1868年から1877年にかけて)を舞台とした本作でも、大日本帝國陸軍の軍装品やプロップガンの選定にはかなりのこだわりが見られ、欧米で入手可能なレプリカモデルや現存実銃の制約から一部に史実との違いがみられるものの、南北戦争や普墺戦争終結により大量の在庫が生じた事が要因となり、欧米の武器商人の手で幕末の日本に大量に持ち込まれた前装式のミニエー銃(マスケット銃)、そして欧米の後装式小銃を参考に村田経芳が日本独自のボルトアクションとして開発した村田銃へと変遷していく小銃史と、旧装備を佩用した旧時代の武士の軍勢が新式の装備の国民軍に善戦空しく敗れ去っていく陸戦史が共に比較的正確に描写されている。 オールグレン達将校や下士官が用いる回転拳銃はコルトM1871/1872 オープントップ(英語版)、コルトM1873 シングルアクション・アーミー、S&W M3 スコフィールド(英語版)、レミントンM1858 ニュー・アーミー(英語版)など、黒色火薬リムファイア弾の拳銃が用いられている。ウェブリー・リボルバーや二十六年式拳銃などのセンターファイア弾(英語版)の中折れ式回転拳銃の登場は、この時代よりももう10年ほど後になってからである。 米国からお雇い外国人として草創期の帝國陸軍に関わった外国人騎兵達はウィンチェスターM1873を佩用している。実際に幕末期の日本に輸入されたレバーアクション(英語版)騎兵銃は、ヘンリー銃やシャープス銃、スペンサー銃、マルティニ・ヘンリー銃等であるが、ウインチェスター銃は戊辰戦争や西南戦争を描いた歴史ドラマでも幕府陸軍や不平士族側の銃としてしばしば登場し、米国の西部劇映画でもヘンリー銃などの代用として用いられる事が多かったものである。 草創期の帝國陸軍(官軍)の一般兵が用いる小銃は、実際に幕末期にスプリングフィールド銃やエンフィールド銃の名称で知られたスプリングフィールドM1861やエンフィールドM1853が用いられている。ミニエー銃に分類される両銃は西南戦争でも西郷軍側で用いられたものであるが、西南戦争で帝國陸軍が用いた後装式改造のスナイドル銃はレプリカを製造しているメーカーが存在しない為か、本作には登場しない。 作中後半でオールグレン達サムライの軍勢と対決する帝國陸軍兵(鎮台兵)はマウザーM1871や同銃の八連発式改良型のマウザーM1871/84を装備している。史実では幕末の日本にはドライゼ銃やシャスポー銃が輸入されており、西南戦争の3年後にグラース銃やボーモント銃を参考に村田経芳が開発した明治十三年式村田単發銃が登場し、後に連発式の明治二十二年式村田連發銃へと発展しているが、制作時点ではこれらのボルトアクション小銃のレプリカモデルを制作している銃器メーカーが存在せず、特に明治の帝國陸軍の象徴的な装備でもあった村田単發銃や村田連發銃は、今日でも日本はおろか有坂銃の維持保存活動が盛んな米国内ですら実銃の入手や実射が非常に難しい事から、比較的単発・連発双方の村田銃と外見や作動形式が近く、単発銃と口径がほぼ同じマウザーM1871やM1871/84が敢えてプロップガンとして選定されたものとみられる。 作中後半の帝國陸軍は重火砲としてM1841榴弾山砲(英語版)やガトリング砲を使用している。ガトリング砲は史実でも帝國陸軍が輸入しているが、明治初期の山砲は史実ではフランス製の四斤山砲である。
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