発行開始当初から採用されているもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 09:37 UTC 版)
「日本銀行券」の記事における「発行開始当初から採用されているもの」の解説
すき入れ(透かし) 透かし部分を厚く漉き上げる特殊なすき入れである「黒透かし(凸透かし)」と、透かし部分を薄く漉き上げる「白透かし(凹透かし)」という技術が用いられている。すき入れ部分を透かすと、黒透かしの部分は周囲より黒く、白透かしの部分は周囲より白く見える。また、黒透かしと白透かしを組み合わせた透かしを「白黒透かし(凹凸透かし)」といい、濃淡のグラデーションを特にはっきりと表現できるため、すき入れにより絵画のような表現をすることが可能となっている。 一部の券種を除き、日本銀行券には券種ごとの定位置に黒透かしまたは白黒透かしによるすき入れがされている。政府、国立印刷局、および政府の許可を受けた者以外による黒透かしを施した紙の製造は「すき入紙製造取締法」により禁止されている。 昭和金融恐慌時や第二次世界大戦末期から終戦直後の混乱期に発行された一部の券種については黒透かしと比較して製造が容易な白透かしのみとなっているほか、これらの白透かしのみの券種については製造効率を向上することを目的としてすき入れの位置が不定位置の「ちらし透かし」が採用されている。 なお、例外的に終戦後の混乱期に発行されたA百円券を除くA号券5券種はすき入れが省略されている。 C券以降の日本銀行券では、すき入れ部分は印刷がなく空白となっており、透かしを容易に確認できるようになっている。過去には乙五圓券で試みられたが、印刷漏れを疑われるなどデザインが不評であったことから、B券まではすき入れ位置にも地模様などが印刷されていたため、透かしを確認し難い券種も存在していた。 D券以降の日本銀行券では、透かしには紙幣表面右側の主模様と同じ題材が採用されており、D二千円券以外は人物の肖像となっている。二千円券を除くD券では、視覚障害者が触覚で容易に券種を識別できるよう券の表面から見て左下隅に各券種固有のパターンとしてもすき入れされている。 現在有効な券のすき入れ(透かし)の図案は下記の通り。「日本銀行券」の文字(旧一円) 「銀貨壹圓」の文字(改造一円) 「壹圓」の文字(い一円(後期製造分を除く)) 桐(改造一円、い一円(製造時期により2種類の図案)、A百円(大部分)、B百円) 天平裂の模様(A百円(一部)) 「日銀」の文字(B千円) 桜花(B千円、C五百円) 野菊(B五百円) 額面金額の数字(B五百円、B五十円、B百円、C五千円) 日本銀行行章(B五十円) 聖徳太子(C五千円)※紙幣表面中央の肖像とは異なり笏無し 法隆寺夢殿(C一万円) 伊藤博文(C千円)※紙幣表面右側の肖像とは異なり横顔 波線(C五百円) 視覚障害者用の識別マーク(D一万円、D五千円、D千円)※ひらがなの点字(詳細は識別マーク参照) 福澤諭吉(D一万円、E一万円) 新渡戸稲造(D五千円)※紙幣表面右側の印刷とは左右反転 夏目漱石(D千円) 首里城守礼門(D二千円)※紙幣表面右側の印刷とは別角度 すき入れバーパターン(E一万円、E五千円、E千円)※縦棒(詳細はすき入れバーパターン参照) 樋口一葉(E五千円) 野口英世(E千円) 凹版印刷 微細線を印刷するための印刷技術。一部の券種を除き、ほとんどの日本銀行券にて採用されている。ただし、昭和金融恐慌時や第二次世界大戦末期から終戦直後の混乱期に発行された一部の券種は手間のかかる凹版印刷を用いず簡易な凸版印刷やオフセット印刷で印刷されている。 紙幣用紙 三椏(ミツマタ)とマニラ麻を使用した紙幣専用の用紙が使用されている。詳細は「#材料」を参照。 彩紋 多くの異なった歯車の組み合わせで描かれる曲線のパターンで、偽造防止と共に装飾の役割も持つ。「彩紋」の語は広義では肖像・風景・文字などを除く図柄をいうこともある。
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