よう‐にん【用人】
用人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/11 06:59 UTC 版)
用人(ようにん)は、江戸時代の武家の職制のひとつで、主君の用向きを家中に伝達して、庶務を司ることを主たる役目とし、有能な者から選ばれることが多かった。御用人(ごようにん)とも。
概要
用人には、側用人(御側御用取次)・公用人・広敷用人・物頭用人・番頭用人・留守居用人・表用人と呼ばれる用人が知られている。広義の用人にはこれらの全てが含まれるが、ここでは主に狭義の用人の意味について解説する。
役目
用人は、主君の用向きを伝えることを主たる役目とするが、側用人が設置されている諸藩・大身旗本にあっては、側用人は、主君の「私事・家政の用向き」を伝え、相手方と折衝して庶務を司ることを主な役目とする。
一方の用人は、主君の「公的な用向き」を藩内・家中に伝えて、相手方と折衝して庶務を司ることを役目とする。藩主の公的な用向きを藩内・家中に伝えるのが公用人ではないので、注意が必要である。
江戸幕府の用人
江戸幕府においては単体で「用人」と呼ばれる役職は確認できないが、名称に「用人」がつく役職は存在し、広敷用人や若年寄支配下の役職に御台所様用人や御簾中様用人、姫様方用人という役職が存在した。姫様方用人は主人である将軍家の娘や養女が嫁いだ後も主人が死ぬまで幕臣として在職した。また、御三卿各家にも用人が存在した。
将軍の側近
旗本の用人
交代寄合・高家以外の江戸幕府の旗本にあっては、原則としてその家中に家老・年寄は設置されず、用人は、諸藩の家老と同じ職権を持つ重臣であるのが通例であり、その旗本家において最高の役職名となる。例えば、500石級の旗本では、用人の定数は1名が一般的である。
諸藩の用人
江戸時代初期には、用人職を設置しない、または同じ業務内容で別の役職が存在する藩も珍しくなかったが、『用人』とは別の呼称で呼んでいて、後に『用人』と改称する藩が出てくるなど、泰平の世となり、いわば事務屋・連絡役・折衝役としての性格を持つ用人は、多くの諸藩に設置されるようになり、武鑑では全国諸藩において用人を掲載しており、仙台藩や米沢藩、萩藩などの用人職がない藩は用人相当職を用人として掲載している。また、側用人と未分化の藩も存在した。
大きな藩では、用人の地位は重臣とは言えず、藩主・老職などの公的な用向きを関係方面に伝えて、折衝して庶務を司ることを役目とする。小さな藩では、用人は家老に次ぐ重臣であって、家老の職務全般を補佐していることが多い。時には用人身分のままで加判の列に加わることもあった。ただし、江戸時代中期以降は財政難の為か大きい藩においても物頭や番頭、江戸留守居が用人を兼務するところもあり、藩によっては物頭用人や番頭用人、小姓頭用人が存在する場合もある。
用人の地位は、全国諸藩においてまちまちであるが、大雑把に云って、大藩であるほど上級家臣の中でその地位は相対的に高くなく、小藩であるほどその地位は相対的に高い傾向があることは疑いがない。諸藩の用人は、いずれも馬上を許された上級家臣である。また、諸藩に仕えたの高禄の重臣は、その家臣として陪臣身分となる用人を召し抱えていた。
一部の藩では藩校の校長や助教授に用人職や用人格を兼務させており、用人として武鑑に記載される場合もあった。例えば米沢藩の神保綱忠や飫肥藩の安井息軒がこれにあたる。
脚注
用人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 03:25 UTC 版)
『長岡市史』では用人は旧名を御用番というとされる。用人は奉行職に同じく家老職の補佐役を務め、細かな用向きを伝え庶務を司った(ただし、大奥以外での藩主の衣食、日常生活に関する用向きの伝達は刀番・小納戸の職域)。用人の地位は奉行職の下位。役高200石高。 先法三家の中から、1名が用人職を兼帯する慣行があり、この役目は、いわば用人組支配職とも云えるものであった。『長岡市史』では寄合組から1名、その他から5人とある。 用人の精勤者は、家格の高い者は番頭職に進み、それ以外は奉行職となった。時々ではあるが用人、奉行、番頭と順次、班を進める者もあった。100石級の藩士は、用人・取次が一応の出世の到達点であり、それ以上となると稀である。なお、江戸組には別に対幕府・諸藩等の対外的用向き専門の非常置の公用人を置いた。→江戸組の項参照。
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「用人」の例文・使い方・用例・文例
- 使用人はストライキ中だ
- 使用人を置く
- 多くの年季奉公使用人が自由になる前に死んだ。
- 労働契約書は、雇用主と使用人の両方から署名捺印される必要がある。
- 労働条件の明示によると、もし労働条件が事実と異なるときは、使用人はすぐに退職することができます。
- 使用人員は30人です。
- どうです?似合っていますか?ここいらで使う使用人の服なんですよ。
- 集められた使用人さんたちは、総勢・・・ひゃ、百人近いよ。
- 彼は使用人に優しい雇い主だった。
- 彼には仕える使用人が1人しかいない。
- 私は使用人の一人をくびにした。
- 使用人に手紙を持たせて伺わせます。
- 使用人がしらは声を上げて「スミスご夫妻がおいでになりました」と告げた。
- 彼は使用人には十分な給料を支払っている.
- 彼は使用人を長時間働かせる.
- 使用人
- 彼は旗本の用人をしておった
- ウエイターや使用人による義務の行使
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