現代の金融
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:42 UTC 版)
企業の資金調達 企業の資金調達方法としては(1)起業家の自己資本、(2)銀行融資、(3)社債、(4)株式発行、(5)政府投資があるが、計画経済においては、改革開放以前(1953年〜78年)までは(5)中央政府の投資が主要であった。その後、改革開放前半に(2)銀行融資や(5)地方政府の投資が増えて、改革開放後半には(1)自己資本や(4)株式発行も増え、21世紀からは(3)社債も増加した。外国の投資家へのアピールも増え、近年では国内での上場よりも先に国外で上場する企業も増えている。 金融機関 改革開放前の銀行は中国人民銀行のみだったが、それが分割されて中国農業銀行、中国銀行、中国人民建設銀行、中国工商銀行の四大国有銀行となった。さらに地方政府や国有企業が設立した銀行や、信用合作社(中国語版)などの金融機関が増加した。これらの金融機関は国民の預金を、政府の政策に沿って融資した。四大国有銀行は商業銀行として業務を行うようになり、新たに政策金融を行う政策性銀行(中国語版)として国家開発銀行、中国農業発展銀行(中国語版)、中国輸出入銀行(中国語版)が設立された。 1985年には、国有企業の資金調達は全て銀行融資が原則とされた。このため資本が0であり資金は全て銀行融資となる国有企業が多数出現し、国有企業の不良債権が問題となった。不良債権は最大時の2000年には国内総生産(GDP)の22.5パーセントに達する巨額となり、不良債権処理のために金融資産管理会社が四大国有銀行から不良債権を買い取った。買い取られた不良債権は1兆4787億元にのぼり、金融資産管理会社の損失は最終的に政府の負担となった。世界金融危機後の景気刺激策により、地方政府は融資プラットフォーム(融資平台)と呼ばれるノンバンク企業による資金調達を行った。中国人民銀行は融資プラットフォームを通じた金融機関の融資は14兆元に達すると公表した。 家計貯蓄率の上昇によって金融仲介業も活発になり、近年では電子決済の普及によってオンラインの理財商品が増加した。マネー・マーケット・ファンドをする余額宝(中国語版)は、銀行の定期預金よりも利回りが高いためユーザー数が1億人を超え、2017年時点で1.6兆元に達して単独のファンドとしては最多の投資家がいる金融商品となった。銀行業務は簡素化されて従業員が減り、2017年の五大商業銀行は合計2.7万人の純減となっている。 金融センター 第二次大戦後はアジアにおいても金融センターが発展した。金融センターの国際的競争力を示す指標としてZ/Yen(英語版)グループの世界金融センター指数(英語版) (GFCI) があり、2019年3月時点では、上位5位は1位ニューヨーク、2位ロンドン、3位香港、4位シンガポール、5位上海と中国から2つ入っている。
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