現代におけるトリエント・ミサの位置づけ
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「トリエント・ミサ」の記事における「現代におけるトリエント・ミサの位置づけ」の解説
第2バチカン公会議以降のカトリック教会におけるトリエント・ミサは、1984年に発表された典礼秘蹟省の書簡『クアットル・アビニク・アンノス』(Quattuor abhinc annos) と1988年の教皇の使徒的書簡『エクレジア・デイ』(Ecclesia Dei) に示されていた通り、トリエント・ミサを挙げる為の規制が定められていた。 2007年7月7日に教皇ベネディクト16世は自発教令『スンモールム・ポンティフィクム』(Summorunum Pontoficum)を発表し、それまでの『クアットル・アビニク・アンノス』と『エクレジア・デイ』に定められたトリエント・ミサの挙行に関する規定をより寛大なものへと変更した。 『クアットル・アビニク・アンノス』では、各教区において司教が、信徒の要望があったときにトリエント・ミサを許可する権限を与えるとしている。 『エクレジア・デイ』では、「伝統あるトリエント・ミサに対しては現代においても常に敬意が払われなければならない」と教皇が述べている。1962年版のトリエント・ミサをたてる許可は教皇庁から直接与えられるだけでなく、各地域の司教にも許可する権限がある。実際、現代でも多くの申請があり、許可が与えられている。教皇庁の許可のもとにトリエント・ミサをたてている団体の所在地リストは「ウナ・ヴォチェ」というグループのウェブサイトから知ることもできる。 『スンモールム・ポンティフィクム』では、「聖ピオ5世が発布し、福者ヨハネ23世があらためて発布したローマ・ミサ典礼書」が決して廃止されていないこと、その挙行が自由であることが確認された。この自発教令の重要な点は次の通りである。 ミサ典書について 聖ピオ5世が発布し、福者ヨハネ23世があらためて発布したローマ・ミサ典礼書…このあがむべき古くからの典礼の使用に対してふさわしい敬意が払われなければならない。(第1項) 福者ヨハネ23世によって発布され、決して廃止されたことのないローマ・ミサ典礼書規範版に従って、教会の典礼の特別な形式としてミサのいけにえを行うことは許される。(第1項) ラテン典礼のカトリック教会の司祭は皆、教区司祭と修道司祭の別にかかわらず、過越の聖なる3日間を除くすべての日に、1962年に教皇福者ヨハネ23世が発布したローマ・ミサ典礼書と、1970年に教皇パウロ6世が発布したローマ・ミサ典礼書のいずれをも用いることができる。いずれのミサ典礼書に従ってこのような典礼を行うにせよ、司祭はそのために使徒座ないし自らの裁治権者から許可を得る必要はない。(第2項) 信者も、上記第2項で述べたミサにあずかることができる。(第4項) 修道会が、修道院としてまたは「共同体」として、自分たちの礼拝堂で、 1962年に発布されたローマ・ミサ典礼書に従ってミサを行うことを望むなら、それは許される。(第3項) その他の秘跡に関する典礼について 小教区の主任司祭は、すべてのことがらを十分に考慮した上で、霊魂の善益が求める場合に、洗礼、結婚、ゆるし、病者の塗油の秘跡を執行する際に、以前の典礼を使用する許可を与えることができる。(第9項 §1) 裁治権者は、霊魂の善益が求める場合に、以前のローマ司教典礼書を用いて堅信の秘跡を授ける権能を与えられる。(第9項 §2) 叙階された聖職者は、1962年に発布された福者ヨハネ23世のローマ聖務日課を用いることもできる。(第9項 §3) 地区裁治権者は、適切と考える場合に、以前のローマ典礼の形式に従って典礼を行うために、教会法第518条に基づく属人小教区を設立するか、教会主管者司祭ないし団体付司祭を任命するべきである。(第10項) 2011年5月13日には、自発教令『スンモールム・ポンティフィクム』の適用に関する指針『ウニヴェルセ・エクレジエ』(Universae Ecclesiae) が発表された。この指針は、エクレジア・デイ委員会委員長であるレバダ枢機卿が署名し、教皇ベネディクト16世が承認している。その要点は次の通りである。 トリエント・ミサを廃止することは絶対に出来ない。「前の世代が神聖なものとして持っていたものは、私達にとってもまた神聖であり、偉大なままです。それ故、それが突然全く禁じられるなどということはあり得ませんし、また有害であると考えられることさえあり得ません。」(第7項) ローマ典礼様式の特別形式の挙行をする権能は、全ての司祭に与えられている。「自発教令『スンモールム・ポンティフィクム』の条項により、そのようなミサを挙行するために教区長又は上長からのいかなる特別の許可を必要としない。」(第23項) 堅信・聖務日課・儀式書の古い形式を自由に使うことができる。(第29項、第32項および第35項)
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