王公族の特権
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王公家軌範(大正15年皇室令17号)等により、ほぼ皇族と同等の各種の特権や義務が規定された。ただし皇位や摂政職につくことや皇族会議への参加は認められない。また枢密院会議に班列する権利や貴族院議員たる権利は無かった。 皇族女子と婚姻する特権(皇室典範大正7年増補)皇族女子の婚嫁は、皇室典範第39条により皇族、勅旨により特に認許された華族に限られていた。王公族は、皇族に準じる存在として解釈で可能とする主張もあったが枢密院で否認され、李王垠と梨本宮家の方子女王の婚約は皇室典範増補により対応された。王公家軌範についてはそのため規定はない。、 敬称を受ける特権(王公家軌範第19条)皇族と同様に殿下の敬称を受ける。皇族の宮家の長が○○宮殿下と称されたのに対し、王は李王垠殿下、公は李鍝公殿下などと姓と諱が用いられた。 朝鮮貴族に列せられる特権(王公家軌範第20条)王公族の子にして王公族に非ざる者(庶子)が一家を創立する場合に於いては勅旨に依り朝鮮貴族に列されることとなった。ただし適用例はない。 朝見の特権(王公家軌範第12条・第39条)王系または公系を襲いだ者は妃と共に天皇・太皇太后・皇太后・皇后に朝見する。王・太王・王世子・王世孫・公は成年に達したときは天皇・皇后・太皇太后・皇太后に朝見する。 司法上の特権(王公家軌範第28条ないし第30条)皇室裁判令の規定が準用される。民事訴訟の管轄について特則がある。天皇の勅許なくして勾引・召喚されない。 就学上の特権(王公家軌範第37条)就学について皇族就学令が準用され、学習院・女子学習院に就学する特権を有する。 班位の特権(王公家軌範第40条)皇族に次ぎ、華族の上位の班位を有する。 受勲の特権(王公家軌範第51条ないし第58条)王は満15年に達した後大勲位に叙せられ菊花大綬章を賜う(皇族の親王に同じ)。王妃は結婚の礼を行う当日勲一等に叙せられ宝冠章を賜う(皇族の親王妃に同じ)。王世子・王世孫・公は満15年に達した後勲一等に叙せられ旭日桐花大綬章を賜う(皇族の王に同じ)。王世子妃・王世孫妃・公妃は結婚の礼を行う当日勲二等に叙せられ宝冠章を賜う(皇族の王妃に同じ)。 任官の特権(王公家軌範第59条)王・王世子・王世孫・公は満18年に達した後、特別の事由ある場合を除くの外、陸軍または海軍の武官に任ぜられる。 居住の制限(王公家軌範第31条)王、太王、王世子、王世孫および公は、勅許を経てその住所を定めた。その他の王公族も、王または公の許可を得て住所を定めた。 国外旅行の制限(王公家軌範第32条)王公族が外国に旅行するときは、勅許を要した。 養子縁組の制限(王公家軌範第24条、第63条ないし第65条)王公族は、養子をすることができない。ただし、王公族審議会の諮詢を経て勅許を得れば、一般臣民の家督相続人となり、または家督相続の目的をもって養子となることはできた。王公家の後継が不在の場合は、王または公の子孫で4世以内のものを養子として迎えることができた(王公家軌範第8・9・10条)。 行為の制限(王公家軌範第33条ないし第36条)王公族は商工業を営み、または営利を目的とする社団の社員もしくは役員となることができない(ただし、株主となることはできる)。営利を目的としない団体の役員となる場合は勅許を要した。また、任官による場合を除くほか、報酬を受ける職に就くことができない。さらに、公共団体の吏員または議員となることもできない。
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