たま・う〔たまふ〕【賜う/▽給う】
読み方:たまう
[動ワ五(ハ四)]《上位から下位に物や恩恵を与える意から、その動作主を敬う語となる。現代では文語的な文章か、特別の堅い言い方でないと尊敬語としては用いない》
1 「与える」「くれる」の尊敬語。お与えになる。くださる。「おほめのお言葉を—・う」
2 人をおよこしになる。
3 自己側の動作に用い、尊大な語気を表す。目下の者に与える。くれてやる。
「そこらの年頃、そこらの金(こがね)—・ひて」〈竹取〉
4 特に命令形は、上にくるはずの動詞を略して、命令・勧誘の意を表す。なさい。
「いざ、—・へよ(=イラッシャイヨ)」〈源・若紫〉
㋐その動作主が恩恵を与えてくださる意を表す。…てくださる。「神が恩恵を垂れ—・う」
㋒尊敬の助動詞「す」「さす」に付いて「せ(させ)たまふ」の形で、程度の強い尊敬の意を表す。
「たふとく問はせ—・ふ」〈竹取〉
㋓同輩以下の者に対し、親しみをこめたりやわらかに命令したりするのに用いる。「そんなにくよくよし—・うな」「早く行き—・え」
[動ハ下二]
1 「もらう」の意の謙譲語。多く、飲食物の場合に用いる。いただく。頂戴する。
「魂は朝夕(あしたゆふへ)に—・ふれど我(あ)が胸痛し恋の繁きに」〈万・三七六七〉
2 (補助動詞)
㋐主として動詞「聞く」「見る」に付いて、その動作を、恩恵を与えてくれる人(尊者)から受ける、いただくの意を表す。(尊者に)…させていただく。
「是の如きことを我(われ)聞き—・へき」〈金光明最勝王経古点〉
㋑(かしこまりあらたまった会話・消息で用いる。平安中期以降の用法)自己または自己側の動作として用いる動詞(主として「思う」「見る」「聞く」)に付いて、聞き手に対してその動作をへりくだる意を表す。…させていただきます。…します。
「かかる御事を見—・ふる(=拝見スル)につけて、命長きは心憂く思う—・へらるる(=存ゼラレマスル)世の末にも侍るかな」〈源・須磨〉
たも・う〔たまふ〕【▽賜ふ/▽給ふ】
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