玄室
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/02/01 16:50 UTC 版)
玄室(げんしつ)とは、横穴式石室や横穴の死者を埋葬する墓室をいう。
概要
玄室とは本来「暗い部屋」を意味していたが、古代中国で地下に構築した墓室を玄室と呼んだことにならい、横穴式石室や横穴の呼称として用いられた。『日本書紀』欽明天皇16年2月条に「玄室(くらきや)に安みせむとは。」とみえる。
玄室と羨道の境が羨門(せんもん)である。連続した二つの石室をもつ横穴式石室では、奥の石室を後室または奥室と呼び、入り口側の石室を前室と呼ぶ。
玄室の平面形は長方形・正方形・隅丸正方形[1]・三味線胴張形・円形などである。
壁の多くは持ち送り[2]工法を用いる例が多いが、石材を削り出す方法もみられる。
この玄室の中に各種の石棺や棺台、区切りのための石障、石屋形(いしやがた)[3]が設けられる。 高松塚古墳やキトラ古墳のように装飾古墳と呼ばれる古墳で描かれる絵の多くは、玄室の壁である。四方に四神を描いたものもある。
脚注
参考文献
- 江坂輝彌・芹沢長介・坂詰秀一編『新日本考古学小辞典』ニュー・サイエンス社 2005年 ISBN 4-8216-0511-2
- 田中琢・佐原真編『日本考古学事典』三省堂 2003年 ISBN 978-4-385-15835-8
- 永原慶二監修 石上英一他編集『岩波 日本史辞典』岩波書店 1999年ISBN 978-4-00-080093-8
関連項目
玄室
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玄室(埋葬施設)は、羨道のさらに奥に、広い横穴状空間を掘って造られる。羨道側から見て、奥行きが長い長方形のもの(妻入型)や、四辺の長さがほぼ均一な方形のもの、奥行に比して横幅が広いもの(平入型)、あるいは楕円形のものなどがある。天井がドーム状のものや、明らかに家屋の屋根を模した三角形の天井に、柱や棟木・桁の意匠を施したものが見られる。遺体は奥から伸展葬で葬られ、追葬ごとに手前(入口側)に安置されていったと見られるが、追葬時に、スペース確保のためか以前に葬られて白骨化した死者を奥壁側の隅に移動させた例がある。遺体の安置箇所は、床に直置きの場合もあるが、玉石による死床を設けるものや、板石による石棺を配置する例もある。遺体の傍らには鉄製武器類や土師器・須恵器、装身具などの副葬品が入れられ、それらは天井が崩壊しない限り土壌化を免れ、地下の閉塞された空間に長く保管され、また盗掘などの後世の影響を受けにくい特性から、発掘調査時には比較的良好な保全状態で検出されることが多い。
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