獣医療専門職の必要性と資格試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 06:24 UTC 版)
「動物看護師」の記事における「獣医療専門職の必要性と資格試験」の解説
近年、動物医療は眼科や皮膚科、エキゾチックアニマル科等の専門科が確立されて高度化しているが、法律上、獣医師以外の者が診療行為を行うことはできない。しかしながら、各診療施設(特に小動物専門病院)では動物看護師の雇用が一般化し、獣医師法に抵触しない範囲で、診療補助業務の他、入院動物の飼育管理、診療施設の窓口業務及び維持管理業務等に従事させているため、動物看護師の技術・知識の高位平準化、その資格制度や就業環境の整備が喫緊課題となっている。小動物診療部門において、動物看護師は獣医療向上のみならず、飼育者に対する動物保健衛生指導や適正飼育管理の普及推進を図る上で必要不可欠な存在であり、また、産業動物診療部門、公務部門(家畜防疫、公衆衛生等の行政)では獣医師が慢性的に不足しているいため、家畜の採血、ワクチン注射、食肉・食鳥検査等、獣医師が通常行う業務を補助する専門職の必要性が指摘されている。 2010年8月、農林水産省が公表した「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」には、小動物、産業動物等の獣医療現場において動物看護職の確立、知識・技術の高位平準化の必要性が明示された。さらに、家畜伝染病予防法の付帯決議では「獣医師以外の獣医療に従事する者の資格(動物看護師など)の制度の検討」が盛り込まれた。これを実現するために、2011年9月、動物看護師統一認定機構が設立され、2012年2月に初めて統一試験が実施された。2012年4月~2015年3月は、移行措置として統一試験に合格した者のほか、既存の資格や活動・実績に基づく書類審査の合格者も「認定動物看護師」としていたが、今後は、指定の養成学校でコアカリキュラムを修了後、3月上旬に実施される試験に合格しなければならない。(2015年度より年1回実施。2012~2014年度の試験不合格者の受験可能措置は2017年度試験まで。) なお、2016年2月、動物看護師統一認定機構は一般財団法人となった。 <試験内容> ・一般問題 90問 試験時間100分 五肢択一(マークシート方式) ・実地問題 30問 試験時間 40分 五肢択一(マークシート方式) <試験範囲>(臨床分野で出題される動物種は犬猫のみであり、産業動物に関する知識は直接問われていない) ・基礎動物看護学Ⅰ(解剖学、生理学、病理学、薬理学、動物遺伝学、動物行動学、放射線学、免疫学、微生物学、寄生虫病学、公衆衛生学、毒性学、繁殖学、野生動物学) ・基礎動物看護学Ⅱ(動物看護の基本理念・職業倫理、動物福祉・関係法規、動物看護の展開、共通の基本看護技術、診療に伴う動物看護技術) ・応用動物看護学Ⅰ(受付業務、外来診療看護業務、入院診療看護業務、周術期看護関連業務、環境整備看護業務、動物栄養学、救命救急時の動物看護、終末期動物患者の看護、予防動物看護、対象動物別の看護、パピーの看護、シニアの看護) ・応用動物看護学Ⅱ(内科系疾患、心・脈管疾患、内分泌・栄養・代謝疾患、泌尿器疾患、アレルギー免疫疾患、呼吸器疾患、脳・神経疾患、運動器疾患、歯・口腔疾患、皮膚疾患、生殖器疾患、眼科疾患、耳鼻咽頭疾患) <合格率> 2016年度 84.4%(合格者数:1961名) 2015年度 85.6%(合格者数:2056名)
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