独特の企業文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 16:13 UTC 版)
「サウスウエスト航空」の記事における「独特の企業文化」の解説
サウスウエスト航空は、企業ポリシーとして「顧客第二主義」「従業員の満足(Employee Satisfaction)第一主義」を掲げる。これは、不確定要素の存在する顧客よりも、発展の原動力であり信頼できる人間関係を築き上げることが可能な社員を上位に位置づけているもので、「従業員を満足させることで、却って従業員自らが顧客に最高の満足を提供する」という経営哲学を追求している。また、サウスウエスト航空の基本理念をまとめた内容には「ざっくばらんに」「ありのままの自分で」「仕事を楽しもう」「自分のことに真剣になるな」というキーワードがある が、元バーガーキングCEOのバリー・J・ギボンズは「楽に構えて仕事をしろと勧める基本理念は見たことがない」と評している。また、従業員に対しては失敗を恐れずに新しいことに挑戦することを推奨し、たとえ40万ドルの損失を会社に負わせたとしても、会社側では責任者に対しては降格や解雇などは行わず、あらゆる手段で当該従業員の信頼を回復することに努める。 サウスウエスト航空は、従業員の採用に際してユーモアのセンスがあることを重要視する。これは、「緊張を強いられることの多い仕事につく人にこそユーモアセンスが必要」というケレハーの持論によるもので、操縦士や客室乗務員、空港カウンターの従業員のみならず、本社や駐機場で勤務する従業員にも等しく求められるもので、「どんなに操縦士としての技術が優れていても、ユーモアを解さない社員はサウスウエスト航空の従業員として不適格」としている。また、客室乗務員の採用時には、サウスウエスト航空の顧客に「望ましい客室乗務員」の選定を依頼することがある。 「乗客に空の旅を楽しんでもらう」ことを従業員に推奨しており、出発前の空港で係員や客室乗務員によってパフォーマンスが行われることがあり、そのためのガイドブックも用意されている。サウスウエスト航空では従業員が顧客にへつらうことなく良識を優先することを推奨しており、顧客が満足するための判断を従業員の裁量に任せる方針をとっている ため、顧客を楽しませるためであれば社内規則を曲げるようなことであっても容認されることがある。ユナイテッド航空のシャトル便サービスが開始された際に空港職員が戦闘用の迷彩服を着用したり、聖パトリックの日に客室乗務員が小妖精の衣装を着用して乗務したり、運航中に乗客が連れていたマゼランペンギンの機内散歩を許可したりする 事例は、すべて従業員の判断である。 サウスウエスト航空の経営方針に対しては必ずしも好意的な意見ばかりではなく、「サウスウエストの従業員はふざけすぎている」という投書もある。これに対して、サウスウエスト航空は「ポリシーを変更する考えはない」と返信を送り、従業員を侮辱する顧客に対しては「今後乗らなくて結構です」と躊躇なく他航空会社の利用を勧める。ケレハーは、「『顧客がいつも正しい』と考えることは、上司が従業員に対して犯しやすい最大の背信行為」と述べている。 社内では、何かしらの理由をつけて頻繁にパーティーやイベントが行われる。特にハロウィーンの時には、社内各部署でコスチュームコンテストが行われ、本社社屋では地元の小学生などがコスチューム目当てで見学に来るという。また、クリスマスパーティーは数回に分けて行われるが、年末の忙しい時期を避けるために7月や9月にクリスマスパーティーが行われることがある。 このような社風から、サウスウエスト航空へ入社を希望する者の中には、応募書類をクレヨンで記入したり、ワイルドターキーの瓶にラベルのように履歴書を貼ったりすることさえあるという。離職率は7パーセント以下で、米国航空業界でも最も低い部類に入る。
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