状態を表す紋章学の用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 03:56 UTC 版)
「ライオン (紋章学)」の記事における「状態を表す紋章学の用語」の解説
紋章学には、紋章に用いられる動物の姿勢(体勢や顔の向き)を表す特別な用語が数多く存在する。 紋章に用いられる獣は、実在と架空を問わず、英語で "heraldic beast(s)(日本語音写例:ヘラルディック ビースト)" といい、日本語でも直訳して「紋章獣(もんしょうじゅう)」と呼ぶ。鳥は heraldic bird(s) であるが、「紋章鳥(もんしょうちょう)」という日本語は少なくとも一般的ではない。動物全般を指すのは heraldic animal(s) であるが、やはりこれにも日本語として定着した語は無い。ただ、研究者や愛好者は「紋章動物」という名称を用いることがある。 そこで、紋章獣としてのライオン(雄ライオン)であるが、紋章動物としても紋章獣としても代表中の代表であるため、紋章動物の姿勢を表す用語はライオン像(獅子像)の名称であるかのように解説されることも多い。しかしながら、正確にはそのようなことではない。例えば、最も一般的で標準形と言ってよい「ランパント」であれば、「ライオン・ランパント (lion rampant)」が単に「ランパント (rampant)」と呼ばれることが多いものの、それはあくまでも略称に過ぎない。 紋章学を古来の原則どおりに適応するなら、ライオンの紋章の色には、紋章学上の「ティンクチャー」に基づく「金(or;オーア。英語の場合は "or" と区別すべく "Or" と綴られることが多い。)」「銀(argent;アージェント)」「赤(gules;ギュールズ)」「黒(sable;セーブル)」「青(azure;アジュール)」、および、その他がある。現代では紋章学の概念から外れた俗称として「黒(black;ブラック)」「白(white;ホワイト)」「金(golden;ゴールデン)」なども一般には散見される。 ティンクチャーで分類したライオン・ランパント Commons Category: Lions rampant by tincture 1. rampant Or 2. rampant argent 3. rampant gules 4. rampant sable 5. rampant azure 6. rampant purpure 7. rampant vert 8. rampant ermine 9. rampant vair 紋章記述(省略なし) 文頭の色の説明は全てフィールドに関してのもの。 1. Sable, a lion rampant Or, langued gules, and crowned Or.(セーブル、ア・ライオン・ランパント・オーア、ラングド・ギュールズ、アンド・クラウンド・オーア)(意:黒、1頭の金のライオン・ランパント、赤い舌と金の冠) 2. Azure, a lion rampant argent.(アジュール、ア・ライオン・ランパント・アージェント)(意:青、1頭の銀のライオン・ランパント) 3. Argent, a lion rampant gules.(アージェント、ア・ライオン・ランパント・ギュールズ)(意:銀、1頭の赤いライオン・ランパント) 4. Argent, a lion rampant sable, armed and langued azure.(アージェント、ア・ライオン・ランパント・セーブル、アームド・アンド・ラングド・アジュール)(意:銀、1頭の黒いライオン・ランパント、青い武装〈爪〉と舌) 5. Argent, a lion rampant azure.(アージェント、ア・ライオン・ランパント・アジュール)(意:銀、1頭の青いライオン・ランパント) 6. Argent, a lion rampant purpure, armed and langued gules.(アージェント、ア・ライオン・ランパント・パーピュア、アームド・アンド・ラングド・ギュールズ)(意:銀、1頭の紫のライオン・ランパント、赤い武装〈爪〉と舌) 7. Or, a lion rampant vert, armed and langued gules, and crowned argent.(オーア、ア・ライオン・ランパント・ヴァート、アームド・アンド・ラングド・ギュールズ、アンド・クラウンド・アージェント)(意:金、1頭の緑のライオン・ランパント、赤い武装〈爪〉と舌、銀の冠) 8. Gules, a lion rampant ermine, armed langued and crowned Or.(ギュールズ、ア・ライオン・ランパント・アーミン、アームド・ラングド・アンド・クラウンド・オーア)(意:赤、1頭のシロテン毛皮模様のライオン・ランパント、金の武装〈爪〉と舌と冠) 9. Or, a lion rampant vair.(オーア、ア・ライオン・ランパント・ヴェア)(意:金、1頭のリス毛皮模様のライオン・ランパント) ライオン以外の紋章獣も珍しくはなく、熊が比較的多く見られる。ユニコーンのランパントはイギリスの国章がサポーターの紋章獣としていることから、報道などを通して目にする機会が他の紋章獣より多いかも知れない。 紛らわしい紋章動物 パラティン・ライオン(英語版)の一例 / 元々のデザインはライオンらしいものであったが、変化を重ねて最早ライオンに見えない。厚い胸板と鋭い鉤爪だけは元のまま。 レパード(レオパード、ヒョウ;豹)に見えるが、これでもライオンであるとのこと。点々はアーミンの変化形。 オオカミ(狼) / ライオンに比べて、鼻づらが長く胸板が薄い。それ以外に見分けるポイントは無い。 イヌ(犬)/ ライオンやオオカミと違い、この画像のようにアームド風に描かれたとしても、あまり凶暴そうに見えない。毛並みも整えられていて、荒々しさが見られない。 オオヤマネコ(大山猫、リンクス)/ 耳の先端に黒い房毛があり、尾は短い。
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