特有の不具合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 03:40 UTC 版)
「en:Carburetor_icing」および「en:Carburetor_heat」も参照 ランオン (英: run-on) 燃焼室内にすすが堆積したエンジンでは、メインスイッチを切ってもエンジンの運転が続く、ランオンと呼ばれる現象が発生する場合がある。点火プラグへの電力供給を止めても燃焼室内でくすぶり続けるすすが火種となって混合気に点火し、キャブレターは吸入空気がベンチュリに流れる限り燃料を送り出すため、燃料チャンバー内が空になるまでエンジンの運転が続く。点火プラグによらない爆発であることからディーゼリング (英: dieseling)とも呼ばれる。 オーバーフロー (英: overflow) フロートチャンバーを利用したキャブレターでは、燃料チャンバーからあふれて外部やベンチュリに燃料が流れ出す、オーバーフローという現象が発生することもある。フロートバルブの高さが適切に調整されていない場合や、フロートやフロート軸などフロートバルブの動作に関連する部品に異常がある場合に、フロートチャンバーに流入するに燃料が過剰となってあふれ出す。あるいは、オートバイなどで転倒した際に、燃料チャンバーからベンチュリに燃料が過剰に流れ込む場合もある。重度なオーバーフローはシリンダー内へ燃料が溜まる。 アイシング (英: icing) 冬期や上空を飛行中など、環境温度が低いときには空気中の水分が凍結してキャブレターの機能を阻害する場合もある。燃料が気化する際の気化熱が周囲の空気や部品から熱を奪い、温度が低下して結氷する。氷はジェット類を塞いで霧化が行えなくなったり、スロットルバルブに張り付いてエンジン回転を下げられなくなる場合もある。これを防ぐため、インテークマニホールドのキャブレター直下にエキゾーストマニホールドを一体化させて排気熱を利用したり、エンジンで暖められた冷却水や電熱器でキャブレター本体を暖める対策を採っているものもある。 パーコレーション (英: percolation) 周辺温度が高い状況などで燃料タンク、燃料ポンプ、配管、キャブレターなどの温度が高くなると、燃料系のどこかでガソリン蒸気が発生して気泡となるパーコレーションが発生する。パーコレーションが起こると混合気が薄くなり、エンジンが息付きを起こして運転が続けられなくなる。一度起こると燃料系の温度を下げる以外に回避する方法はない。 加速度の方向による不具合 キャブレターの動作は重力などの加速度に依存している。設計上の想定と異なる向きに加速度がかかると燃料供給が途切れるため、航空機では背面飛行に制限時間がある。解決策としては、イギリス・ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメントのベアトリス・シリングが考案したミス・シリングのオリフィスの搭載や、燃料噴射装置への置き換えなどがある。
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