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炭酸アンモニウム

(炭安 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/30 02:36 UTC 版)

炭酸アンモニウム
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.007.326
EC番号
  • 233-786-0
E番号 E503(i) (pH調整剤、固化防止剤)
IUPHAR/BPS
PubChem CID
UNII
国連/北米番号 3077
CompTox Dashboard (EPA)
特性
化学式 CH8N2O3
モル質量 96.09 g mol−1
外観 白色の粉末
密度 1.50 g/cm3
融点

58 °C, 331 K, 136 °F (分解)

への溶解度 100 g/(100 ml) (15°C)[1]
25 g/(100 ml) (20°C)
磁化率 −42.50·10−6 cm3/mol
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
刺激性
GHS表示:
Warning
H302, H319
安全データシート (SDS) External MSDS
関連する物質
その他の
陰イオン
炭酸水素アンモニウム
カルバミン酸アンモニウム
その他の
陽イオン
炭酸ナトリウム
炭酸カリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

炭酸アンモニウム(たんさん—、Ammonium carbonate)は、アンモニア炭酸塩で、形式上、化学式が (NH4)2CO3 と表される化合物である。しかし通常、炭酸アンモニウムとして入手可能な試剤は、炭酸水素アンモニウム (Ammonium hydrogen carbonate、NH4•HCO3) とカルバミン酸アンモニウム (ammonium carbamate、NH2COONH4) との混合物である。炭安(たんあん)、鹿角塩(ろっかくえん)とも呼ばれる。

性質

無色の結晶または白色の粉末で、強いアンモニア臭を持つ。

58 ℃ で熱分解し、二酸化炭素(石灰水を入れると白く濁る)とアンモニア(水にぬれた赤色リトマス紙を近づけると青色に変化する)と(塩化コバルト紙を近づけると青色から赤色に変化する)に変わる。空気中に放置してもゆっくりと二酸化炭素とアンモニアを放出しながら分解し、炭酸水素アンモニウムが残る。水に可溶で、水溶液は塩基性を示す。

合成

炭酸アンモニウムは、窒素を含む有機物質(例:の毛、シカ尿の分解物など)を乾燥条件で加熱して抽出できる。しかし現在では炭酸アンモニウムは、塩化アンモニウムあるいは硫酸アンモニウムと、白亜石灰岩: 炭酸カルシウムが主成分)を製の容器の中で赤熱し、出てくる気体を製の受け器で濃縮して作られる。粗生成物から昇華により得られる炭酸アンモニウムの白い繊維状の固まりは、等モルの炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムから成る。この混合物は、その組成よりセスキ炭酸アンモニウム (ammonium sesquicarbonate) とも呼ばれる。それをアルコールで蒸解(digestion)したり、空気中に放置したりすると、カルバミン酸アンモニウムが分解し純粋な炭酸水素アンモニウムが得られる。また、約 30 ℃ で調製したセスキ炭酸アンモニウムの濃い水溶液にアンモニアを通じると、上記の混合物とは異なる純粋な炭酸アンモニウム ((NH4)2CO3) が、水和物の結晶として得られる。この化合物もまた空気中でアンモニアを放出し、炭酸水素アンモニウムへと戻る。

用途

炭酸アンモニウムはその刺激臭から、必要なときに砕いて使う気付け薬として用いられる。"baker's ammonia"(パン屋のアンモニア)としても知られ、かつてはふくらし粉の用途に使われていた。

接着剤の原料、催吐薬としても用いられる。

出典

  1. ^ John Rumble (June 18, 2018) (English). CRC Handbook of Chemistry and Physics (99th ed.). CRC Press. pp. 4–40. ISBN 978-1138561632 

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