チオ硫酸アンモニウムとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 学問 > 化学物質辞書 > チオ硫酸アンモニウムの意味・解説 

チオ硫酸アンモニウム


チオ硫酸アンモニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/02 02:50 UTC 版)

チオ硫酸アンモニウム
識別情報
CAS登録番号 7783-18-8 
PubChem 6096946
ChemSpider 4807475 
特性
化学式 (NH4)2S2O3
モル質量 148.20
外観 白色単斜結晶
密度 1.679
融点

150℃(分解)

構造
結晶構造 単斜晶系
危険性
引火点 ?°C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

チオ硫酸アンモニウム(: ammonium thiosulfate)は、組成式(NH4)2S2O3で表されるチオ硫酸アンモニウム塩である。LD50(経口、ラット)は2890mg / kg[1]である。

性質

吸湿性の強い白色斜方晶で、150℃に加熱すると亜硫酸アンモニウム硫黄アンモニア硫化水素[要出典]に分解。水に易溶、アセトンに微溶。アルコールエーテルに不溶、空気中では不安定だが、アンモニア中では安定[2]

製造方法

炭酸水素アンモニウム二酸化硫黄および水と反応させ亜硫酸アンモニウムを生成させた後、これをろ過して不純物を除去する。次に硫黄と一緒に煮沸させ、その後ろ過、蒸発、冷却により結晶化及び遠心分離してチオ硫酸アンモニウムを得る。

また、チオ硫酸カルシウム水溶液と炭酸アンモニウム水溶液を混合し、生ずる炭酸カルシウムの沈殿を回収しても得られる。[3]

用途

チオ硫酸ナトリウムの代用に写真の定着剤として使用される。チオ硫酸アンモニウム由来の錯体はチオ硫酸ナトリウム由来とは対照的に、錯体の熱分解が硫化銀(I)のみの残基を残すため銀の回収が容易である[1]。また、チオ硫酸ナトリウムと比較して洗浄時間が短く、ハロゲン化銀を溶解しやすいという利点がある[4]。下記は臭化銀(I)との反応を示す[5]

また、チオ硫酸アンモニウムは肥料として使用することができる[6]。燃焼中のダイオキシン類フランの生成の抑制に石炭廃棄物混合物の添加剤としても使用される[7]

および銀の精製として使用されることもあり、その際は触媒として銅を必要とする[8]

他にも、医療用の殺菌剤及び分析試薬として使用され得る。

関連項目

出典

  1. ^ a b A. Metzger 編 『Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry』Weinheim、2012年。 
  2. ^ MSDS - Ammonium Thiosulfate”. 2022年7月1日閲覧。
  3. ^ 『化学事典』旺文社、2010年。 
  4. ^ Praní černobílých filmů a papírů”. 2022年7月1日閲覧。
  5. ^ Keller, Karlheinz 『Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry』Weinheim、2005年。 
  6. ^ McCarty, G. W.; Bremner1, J. M.; Krogmeier1, M. J. 『Evaluation of ammonium thiosulfate as a soil urease inhibitor』Fertilizer Research、1990年、135–139頁。 
  7. ^ Wielgosiński Grzegorz 『The Reduction of Dioxin Emissions from the Processes of Heat and Power Generation』Journal of the Air & Waste Management Association、2011年、511–526頁。 
  8. ^ Aylmore, M.G; Muir, D.M 『Thiosulfate leaching of gold—A review』Minerals Engineering、2001年。 

チオ硫酸アンモニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 09:54 UTC 版)

現像」の記事における「チオ硫酸アンモニウム」の解説

迅速定着液主薬である。チオ硫酸ナトリウムハイポ)よりも定着作用が強力で、定着処理時間大幅に短くすることができる。

※この「チオ硫酸アンモニウム」の解説は、「現像」の解説の一部です。
「チオ硫酸アンモニウム」を含む「現像」の記事については、「現像」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「チオ硫酸アンモニウム」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  チオ硫酸アンモニウムのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「チオ硫酸アンモニウム」の関連用語

チオ硫酸アンモニウムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



チオ硫酸アンモニウムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
独立行政法人科学技術振興機構独立行政法人科学技術振興機構
All Rights Reserved, Copyright © Japan Science and Technology Agency
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのチオ硫酸アンモニウム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの現像 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS