溶液へのフランク=コンドンの原理の適用とは? わかりやすく解説

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溶液へのフランク=コンドンの原理の適用

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 05:08 UTC 版)

フランク=コンドンの原理」の記事における「溶液へのフランク=コンドンの原理の適用」の解説

液体溶解され色素における電子遷移にもフランク=コンドンの原理適用することができる。この考え方では、色素溶液フォノンとの相互作用が、色素分子振動準位同様に吸収および放出スペクトル構造影響与える。ただし、それぞれの効果独立取り扱われる色素分子溶媒分子取り囲まれている状況考える。取り囲んでいる溶媒分子は、色素分子相互作用を行う。溶媒との相互作用は、溶媒分子極性を持つ場合は特に顕著である。このような溶媒溶質との相互作用関係は溶媒和とよばれ、状態を安定化させる相互作用である。つまり、分子エネルギー最小になるまで、移動あるいは回転する。この相互作用自体は、静電気力およびファンデルワールス力に基づくものであり、水素結合場合もある。フランク=コンドンの原理適用できるのは、色素分子溶媒との相互作用が、電子基底状態励起状態とで異なっている場合である。そのような相互作用違いは、たとえば双極子モーメント2つ電子状態間で異なるなどの原因生じる。状態が電子基底状態から始まり溶媒分子との位置関係平衡位置近かったとする。そして、光子吸収し電子励起状態への遷移起こったとすれば遷移直後には溶媒との相互作用平衡からは離れていることになる。この効果は、本来のフランク=コンドンの原理相似である。つまり、本来のフランク=コンドンの原理原子核動き電子遷移くらべて非常に遅いことに基づいていたのが、溶液場合には、それが溶媒分子動き置き換えられている。溶液場合にも垂直遷移をあつかうが、横軸座標溶媒溶質間の相互作用座標である。この座標軸は、しばしば「溶媒和座標」とよばれ、色素相互作用を持つ全ての溶媒分子相対位置代表して表している。 本来のフランク=コンドンの原理では、電子遷移の後、高次振動状態持ち上げられ分子は、すみやかに基底振動状態緩和する溶液場合でも、溶媒分子相互作用エネルギー最小になる配置すみやかに移動しようとする。溶媒分子配置緩和は、溶媒粘性依存する溶媒分子配置緩和時間電子励起状態寿命比べて十分に短いと仮定すると、光子放出電子励起状態の最もエネルギー小さな溶媒配置から起こる。室温におけるメタノールのような小さな溶媒分子では、溶媒分子配置緩和時間は、数十ピコ秒オーダーであり、一方色素分子電子励起状態寿命ピコ秒から数ナノ秒範囲に及ぶ。電子基底状態への遷移の後、溶媒分子色素新し電子状態対応する安定点へと再び動かなければならない。図7は溶液におけるフランク=コンドンの原理表している。溶液電子遷移エネルギー対応する振動数の光を照射をうけると、一部色素電子励起状態へと遷移する励起され分子集団における色素溶媒相互作用エネルギー統計的な分布をもっており、図中ではガウス分布表されている。溶媒色素間の相互作用放物線型のポテンシャルエネルギー面として、それぞれの電子状態について描かれている。電子遷移溶媒運動の時間スケールに対して瞬時起きる(遷移垂直な矢印描かれているのはそのため)ので、遷移直後電子励起状態色素集団は、平衡からは遠い。励起あらたなポテンシャルエネルギー曲線にそった溶媒分子再配置曲がった矢印として図7では示されている。電子遷移量子化されているのに対し色素溶媒の間の相互作用古典的な連続量として扱われている事に注意されたい。これは非常に多く分子が関わっているためである。光子放出ポテンシャルエネルギー極小から起こるように描かれているが、溶液粘性大きかったり、電子励起状態寿命短かったりする場合には、無視できない確率光子放出平衡到達前に起こる場合もある。図7における吸収放出遷移エネルギーの差は、溶液由来するストークスシフト表している。

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