源氏物語巻名目録での桜人
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高野山正智院旧蔵「白造紙」中の『源シノモクロク』現在の54帖と大体同じような巻名を列挙しているが、宇治十帖の巻々については「ウチノミヤノ」として改めて1から巻数を数えており、夢浮橋のあとに「コレハナキモアリ」と記し、その後「コレカホカニニチノ人ノツクリソヘタルモノトモ サクヒト サムシロ スモリ」と記しており、この中の「サクヒト」が「サクラヒト」のことではないかとされている。 『源氏物語注釈』(宮内庁書陵部蔵)院政期の成立と見られる巻名目録、「源氏物語のおこり」に続いて3つの注釈書を合わせた外題が付されていない源氏物語の注釈書であり、仮に「源氏物語注釈」や「源氏物語古注」と呼ばれている。54帖に含まれない源氏物語の続編的巻々の名前として「さくら人」、「さむしろ」、「すもり一」、「すもり二」、「すもり三」、「すもり四」、「やつはし」、「さしぐし」、「はなみ」、「さが野一」、「さが野二」の11帖を挙げている。 『光源氏物語本事』(島原松平文庫蔵)「庭云、この五十四は本の帖数也、のちの人桜人すもりさかの上下さしくしつりとのの后なといふ巻つくりそへて六十帖にみてむといふ。本意は天台の解尺をおもはへたるにや」と記している。 『山路の露』(九条稙通自筆本)本書の奥書において「清少納言が造り添えた巻」として、「桜人」、「狭筵」、「巣守」の3帖が挙げられている。 『拾芥抄』(前田尊経閣文庫本)「源氏物語目録部第卅」において、玉鬘の並びの巻の最後で、槇柱に続いて「桜人イ」(「イ」はおそらく異文の意味)と記している。 なお、同写本には「東屋」に「狭席イ」と付記されており、また末摘花を紅葉賀の並びとする等いくつか他に見られない内容を持つ巻名目録になっている。 『光源氏一部謌』(島原松平文庫蔵)幻巻巻末の注記に、「すもり五帖、桜人二帖、嵯峨野三帖以上山路露十帖是也などと云ものちにつくりそへられたる本也 それもいまは世にわたらす。廿五より廿七かほる中将へうつるへし、その間八九年とみえたり」とある。 『大乗院寺社雑事記』源氏物語の注釈書『花鳥余情』の著者一条兼良の子であり奈良興福寺の大乗院門跡であった尋尊大僧正の1450年(宝徳2年)から1508年(永正5年)にわたる日記「尋尊大僧正記」を、続く大乗院門跡であった政覚および経尋の1527年(大永7年)までの日記と合わせたものであるが、その1478年(文明10年)7月28日の条において、源氏物語のおこり・主要な伝本・主要な注釈書などについて触れているが、その中で54帖からなる源氏物語の巻名を挙げた後に清少納言が源氏物語に書き加えた巻として「桜人」、「巣守」、「八橋」、「さしぐし」、「花見」、「嵯峨野上」、「嵯峨野下」を挙げている。
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