源氏物語の本文中における「もののまぎれ」
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「もののまぎれ」の記事における「源氏物語の本文中における「もののまぎれ」」の解説
「もののまぎれ」なる語は源氏物語の本文中においても使われており、「物事の忙しさなどにとりまぎれること(=どさくさまぎれ)」という意味では賢木巻で「―にも左の大臣の御有様ふと思しくらべられて」と、あるいは少女巻で「上の御方には、御簾の前にだに、もの近うももてなしたまはず。わが御心ならひ、いかに思すにかありけむ、疎々しければ、御達なども気遠きを、今日はものの紛れに、入り立ちたまへるなめり。」と、また後者の意味では若菜下巻において「帝の御妻をも過つたぐひ、昔もありけれど、それはまたいふ方異なり。宮仕へといひて、我も人も同じ君に馴れ仕うまつるほどに、おのづから、さるべき方につけても、心を交はしそめ、もののまぎれ多かりぬべきわざなり。」と使われている。 このように源氏物語の本文中において秘められた男女関係を指す意味で「もののまぎれ」という語が使われていることは確認できるものの、用例も少なくまた少ない用例の中で「もののまぎれ」・「ことのまぎれ」・「まぎれ」といった少しずつ異なる表現が混在しており、それらの異なった表現がどのように使い分けられているのかは必ずしも明らかでは無い。源氏物語の本文中での秘められた男女関係を指す意味での「もののまぎれ」等の語は、柏木事件のことを指した事例のみが確認できる。源氏物語以外では「栄華物語」などの中にも若干の用例が見られるが、これも「合意の上での男女の秘め事」を意味すると見られており、本来「もののまぎれ」という語は藤壺事件における皇統の乱れを意味するような語ではないとの指摘もある。
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