源氏物語内部の時間の経過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/29 09:30 UTC 版)
「源氏物語年立」の記事における「源氏物語内部の時間の経過」の解説
『源氏物語』においては70年余りの間の天皇4代にわたる出来事が描かれているが、作中で登場人物の年齢が明記される箇所はまれである。加えて、『源氏物語』は描かれる時間帯に重なりが存在したり、描かれていない時間帯が存在したりするという複雑な構造を持っている。そのため『源氏物語』を読むに当たり、作品世界の中での出来事を主人公である光源氏の年齢を軸にして整理することが広く普及している。 たとえば主人公である光源氏の年齢ですらも「桐壺」巻において「十二にて御元服したまふ」と記されるものの、次の「帚木」巻では、読んだだけでは年齢が書かれておらず、分からない。これの解決には、第一部の最後である「藤裏葉」巻の「明けむ年、四十になりたまふ」(翌年40歳になる)という記述を待たねばならない。そのため「帚木」巻から「藤裏葉」巻までの間の光源氏の年齢はすべて作品中で描かれている季節などから経過年数を推測した上で、「藤裏葉」巻から逆算して考察することによって明らかにされることになる。 作品中で起こった出来事の前後関係や時間的な隔たりについても明記されていないことが多いため、それらが一見明らかで無いだけでなく異なった解釈が生まれる余地が存在する。たとえば「藤裏葉」巻から逆算した再出発点にあたる「帚木」巻での『雨夜の品定め』の場面での光源氏の年齢について、新年立では17歳、旧年立では16歳となるが、河内本系の写本である東山御文庫蔵『七毫源氏』の「帚木」巻巻末に付記された注釈では15歳説や19歳説があったことが知られる。
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