活動目的と運営方針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 15:02 UTC 版)
1874年に共存同衆の活動のルールである共存同衆条例が明文化されている。諸言、本文、付随する臨席心得からなり、諸言では活動の目的について述べている。その主張するところは、欧米列強への対峙、国家独立、近代化達成、藩閥政府と士族民権の協調、旧態依然とした思考習慣からの脱却である。そのために当団体を設立して、市民のつながりを深め、市民の自覚を広げ、論じるべきものはすぐに論じ、救済すべきものはすぐに救済し、補助すべきものはすぐに補助し、それによって市民の権利・義務の意識を高めて、将来的に活動を大きくしてゆくこと。および、それらを通じて国内に趣旨が広がり、賛同者が支援し、地域における責任を尽くしていこうとすること。これらが趣旨である。 活動ルールを全28条に明文化して定めている。「第一条 一、本衆を同盟し人間共存の道を勧めんとす。」からはじまる。全条のおおむねの内容を要約すると、 人間共存の道を勧める。 人間共存の事を弁論の中心とする。 建議があるときは前回に概要を伝え次回の許可を得る。 月に2回開催し、10日と25日を常会とする、3時に集まり、30分後に会合を始める、会合は2時間とする(会頭と呼ばれる議長が伸縮する) 重要な議決は2/3とする。 議論内容を出版等公開するときには2/3の同意を得る。 議長は毎回無記名投票で選ぶ。 新会員は1人の推薦と2/3の同意が必要。参加費は毎月50銭とする。東京に不在者は半額。 女性は1人の推薦と2/3の同意で参加できる(女子を差別するのではなく、会が乱れるのを防ぐため)。女子を同伴する場合は、一同の賛同を得る。 同衆となると毎回案内が送付され、発言の機会を得ることができる。 会合には友人1人を連れてくることができる。ただし幹事に紹介しなければならない。 5名が要望すると臨時会を開催できる。 庶務をおこなう幹事を2名おく。毎月のはじめに幹事は会計を報告する。 退会するときには幹事に伝える。 この条例を守る義務。 などである。 臨席心得として9項をあげている。大声は禁止、議長に対して発言する(個々で談話しない)、起立して発言する、離席は便所以外は禁じる、雑談は禁止、喫煙は禁止、会議をはじめるときには議長に揖(会釈)して着席する、やむをえず退席する必要のある時はあらかじめ議長に伝える、出席者は袴または洋服とする、である。 このように共存同衆は西欧の制度・思想・文物を研究し会員相互の思想の修養を図る知識人クラブ的な場をつくり、そして研究成果を積極的社会に還元し、政治・社会・文化の改革をめざして啓蒙的な実践活動にかかわろうとするものであった。
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