法制局長とは? わかりやすく解説

法制局長

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/17 06:37 UTC 版)

衆議院法制局および参議院法制局の法制局長(ほうせいきょくちょう)は、衆議院および参議院に置かれる議院法制局の長。それぞれ、衆議院法制局長、参議院法制局長と呼ばれる。職名の英訳はCommissioner General

国会法第131条第2項に基づいて各法制局に1名ずつ置かれる。国会議員の法制に関する立案に資するために各議院に設置される法制局の長となり、議長の監督の下に、法制局の事務を統理する。

地位

法制局長は、1948年に各議院事務局の法制部が法制局に昇格した際に設置された。身分は特別職国家公務員である国会職員である。

各議院の議長が議院の承認を得て任免する。ただし、国会の閉会中に法制局長が辞任を申し出た時は、議長において辞任を許可することができるとされている。

法制局長の人選は、おおむね各議院法制局の内部からの昇任によっており、先任の法制局長が辞任すれば、議院法制局のナンバー2である法制次長が後任に任命されることがほとんどである。

待遇は、内閣における内閣法制局長官との均衡がはかられ、両議院議長の協議により決定される給与額は常に内閣法制局長官と同額に維持されている。

なお、議院法制局の長が「法制局長」と称し、「法制局長官」と称する内閣法制局の長と職の呼称が異なるのは、国会職員は国家公務員であっても「官吏」ではないとされているためである。

権限

議院法制局の長としての法制局長の職権は、議長の監督の下に、局中一切の事務を統理し、所属職員を監督することにある。議院法制局の職員の任命権者でもあり、議院法制局に置かれる参事その他の職員は、法制局長が議長の同意および議院運営委員会の承認を得て法制局長が任免する。

議院法制局の部・課の事務の分担、各部の分課、職員の配置などは法制局長が行う。

法制局長は国会の委員会法律の解釈について発言することができるが、その発言は、内閣法制局長官の国会における発言が政府の法律解釈に対する公式の見解として権威をもつのとは性質が異なり、国会という機関を構成する個々の議員が意見をまとめる参考に資するために、法制局長が意見を述べたという以上の意味を持たない。

歴代の法制局長

衆議院法制局長

氏名 在任期間 前職 備考
1 入江俊郎 1948年7月7日 - 1952年8月26日 国立国会図書館専門調査員 注1
2 西澤哲四郎 1953年3月5日 - 1961年2月9日 衆議院事務次長
3 三浦義男 1961年2月9日 - 1972年7月12日 衆議院法制次長 注2
4 鮫島眞男 1972年7月12日 - 1973年9月27日 衆議院法制次長
5 川口賴好 1973年9月27日 - 1976年11月4日 衆議院法制次長
6 大井民雄 1976年11月4日 - 1981年9月11日 衆議院法制次長
7 大竹清一 1981年10月1日 - 1983年4月15日 衆議院法制次長
8 上田章 1983年4月15日 - 1989年6月22日 衆議院法制次長
9 松下正美 1989年6月22日 - 1990年6月26日 衆議院法制次長
10 和田文雄 1990年6月26日 - 1994年6月29日 衆議院法制次長
11 坂本一洋 1994年6月29日 - 1998年3月30日 衆議院法制次長
12 内田正文 1998年3月30日 - 2002年7月23日 衆議院法制次長
13 窪田勝弘 2002年7月23日 - 2006年6月13日 衆議院法制次長
14 郡山芳一 2006年6月13日 - 2008年8月11日 衆議院法制次長
15 高橋恂 2008年9月29日 - 2013年6月26日 衆議院法制次長
16 鈴木正典 2013年6月26日 - 2017年12月8日 衆議院法制次長
17 橘幸信 2017年12月8日 -(現職) 衆議院法制次長
  • ※注
    1. 入江俊郎の辞職後、西澤哲四郎が任命されるまでの間は、法制次長三浦義男が法制局長の事務を代理した。
    2. 同姓同名で、宮城県知事・参議院議員の三浦義男がいる

参議院法制局長

氏名 在任期間 前職 備考
1 奥野健一 1948年10月15日 - 1956年11月21日 法務庁訴務長官
2 斎藤朔郎 1956年12月26日 - 1962年5月28日 大阪高等裁判所判事
3 今枝常男 1962年8月13日 - 1974年6月4日 参議院法制次長
4 杉山恵一郎 1974年6月4日 - 1980年8月4日 参議院法制次長
5 浅野一郎 1980年8月4日 - 1988年4月25日 参議院法制次長
6 中島一郎 1988年4月26日 - 1995年6月16日 東京家庭裁判所長・判事
7 田島信威 1995年6月16日 - 1999年8月13日 参議院法制次長
8 河野久 1999年8月13日 - 2006年3月29日 参議院法制次長
9 大島稔彦 2006年3月29日 - 2009年12月4日 参議院法制次長
10 伊藤誠 2009年12月4日 - 2013年8月7日 参議院法制次長
11 岩崎隆二 2013年8月7日 - 2016年6月1日 参議院法制次長
12 長野秀幸 2016年6月1日 - 2020年12月4日 参議院法制次長
13 川崎政司 2020年12月4日 -(現職) 参議院法制次長

参考文献

  • 浅野一郎(編)『ガイドブック国会 制度のすべて』ぎょうせい、1990年
  • 浅野一郎・河野久(編)『新・国会事典 用語による国会法解説』有斐閣、2003年
  • 西川伸一『知られざる官庁・内閣法制局 立法の中枢』五月書房、2000年

関連項目


法制局長

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/14 14:22 UTC 版)

議院法制局」の記事における「法制局長」の解説

法制局長は、法制局置かれる職員のひとつで、議院法制局の長である。所属する議院議長監督の下に、法制局事務統理することを職務とする。 法制局長は、各議院議長議院承認得て任免する。ただし国会閉会中に法制局長が辞任申し出た時は、議長辞任許可することができるとされている。 法制局長の人選は、各議院法制局内部からの昇進によっており、先任の法制局長が辞任すれば後述する法制次長後任任命される慣例である。また、法制局長の待遇は、内閣における内閣法制局長官とほぼ同等待遇である。なお、議院法制局長の称は「法制局長」であって、「法制局長官」と称する内閣法制局とは異なる。

※この「法制局長」の解説は、「議院法制局」の解説の一部です。
「法制局長」を含む「議院法制局」の記事については、「議院法制局」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「法制局長」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「法制局長」の例文・使い方・用例・文例

  • 法制局長
Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「法制局長」の関連用語

法制局長のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



法制局長のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの法制局長 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの議院法制局 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS