水圏としての海
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 22:24 UTC 版)
現在の地球表面に存在する水の総量は14億km3とされているが、その中で海水が断然多く約97.5%の13億5000万km3を占める。次に多いのは氷床で2500万km3と推定されている。海の深さは3000 - 6000mの範囲が最も広く、この範囲の面積は海洋の70%、地球の全表面積のほぼ半分を占めている。 赤道近くの海の表面は太陽の光を受けて温められ、温かい水の流れ(暖流)となって流れてゆくほか、大量の水蒸気を発生する。1年間に海から蒸発する水量は50.5万km3と見積もられており、台風の発生など地球の気象に大きな影響を及ぼしている。蒸発した水量の91%は直接海上に降水するが、残りの9%が陸地に雨や雪として降水し、河川や氷河、地下水を経由して最終的には海に戻る。 他方、海底の一部から海水が地球内部深くに吸収されており、その量を年間23億トンと推計し、約6億年後に地球の海が消失する可能性を予測する研究もある。 海水は塩化ナトリウム(NaCl:いわゆる塩)を主成分とする塩分が含まれている。塩化ナトリウム以外にも各種のイオンが溶解しているが、海水中の総塩分濃度は周辺の影響によって異なる。例えば大河の河口近くや氷河が海に流れ込んでいる場所では塩分濃度(イオンの総量)は低く、逆に蒸発が盛んな海域では塩分濃度が高くなる。海氷が形成される時にも水分が選択的に凍るため、塩分に富んだ海水が分離される。グリーンランドや南極周辺で作られる冷たく塩分の濃い海水は比重が大きいため深く沈み込み、深層流となって地球全体を巡っている。 海水は塩分などが含まれるため淡水に比べて凍結しにくい性質を持つが、-1.9℃以下になると凍りはじめる。こうして作られた海氷は、北極海の大部分を覆っており、またより緯度の低いバルト海やオホーツク海、セントローレンス湾、ハドソン湾、ベーリング海などの海域でも冬季には凍結する海域がある。しかし、年間を通じて結氷したままなのは北極海のみであり、それも全域ではなく夏季には南部を中心にかなりの海域で解氷する。こうして形成された氷は冬季には南方の海域に押し寄せることがあり、これらは流氷と呼ばれる。また、これとは別に南極の棚氷や北半球の氷河といった陸氷から海に巨大な氷山が流れ出すことがある。 各イオン間の比率は全海洋でほぼ一定である。下記に塩分濃度を3.5%とした場合のイオン濃度を表にまとめた。 海水中のイオン濃度(データは『地球の水圏』より)成分濃度(g/kg)重量百分率(%)Cl-19.35 55.07 Na+10.76 30.62 SO42-2.71 7.72 Mg2+1.29 3.68 Ca2+0.41 1.17 K+0.39 1.10
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