水回収システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 12:00 UTC 版)
「ISS ECLSS」の記事における「水回収システム」の解説
ISSには2つの水回収システムがある。ズヴェズダには、緊急時に飲用に使用できる大気からの水蒸気を処理する水回収システムが含まれているが、通常は酸素生成のためにエレクトロンシステムに供給される。アメリカのセグメントには、STS-126間に設置された水回収システムがあり、大気と尿から集められた水蒸気を飲用用の水に処理することができる。水回収システムは、2008年11月に一時的にデスティニーに最初に設置され 、2010年2月に、トランクウィリティー(ノード3)に移動した。 水回収システムは、3つのECLSSラックのうちの2つに収容された、尿処理装置アセンブリと水処理装置アセンブリで構成されている。 尿処理装置アセンブリは、遠心分離機を使用して重力の不足を補い、液体と気体の分離を支援する低圧減圧蒸留プロセスを使用する。尿処理装置アセンブリは、6人の乗組員のニーズに対応する9kg/日の負荷を処理するように設計されている。設計では水分の85%を回収するよう要求されていたものの、その後、硫酸カルシウムの沈殿 (ISSに存在する自由落下状態では、骨密度の低下により尿中のカルシウム濃度が上昇する)を受けて、水分含有量の70%を回収するという運用レベルに修正された。 尿処理装置アセンブリと廃水源からの水は、共にガスと固形物が水処理装置アセンブリでろ過された後、過床と高温触媒反応器アセンブリを通過する。その後、水は内蔵センサーによって検査され、不適格な水はウォータープロセッサアセンブリを介して循環される。 揮発性除去アセンブリは、 1998年1月にSTS-89で飛行し、微小重力下での水処理装置アセンブリの触媒反応器を実証した。蒸気圧縮蒸留飛行実験は、STS-107で飛行したが、事故で破壊した。 尿処理装置アセンブリの蒸留アセンブリは、最初の設置の翌日の2008年11月21日に故障した。3つの遠心分離機速度センサーの1つが異常な速度を示し、遠心分離機モーターの電流も大きかった。これは、いくつかのゴム製防振装置を使用せずに蒸留アセンブリを再取り付けすることで修正された。蒸留アセンブリは、モーター電流が大きいために2008年12月28日に再び故障し、2009年3月20日に交換している。最終的に、故障後のテスト中に、1つの遠心分離機の速度センサーがずれていることが判明し、コンプレッサーのベアリングが故障している。
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