水の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/27 07:58 UTC 版)
硬度の値によって、硬水や軟水という名称で呼ばれる。世界保健機関 (WHO) の基準ではアメリカ硬度に従い以下の通り 軟水:0 - 60未満 中程度の軟水(中硬水):60 - 120未満 硬水:120 - 180未満 非常な硬水:180以上 河川が比較的短い日本では、水が岩や土に接触する時間が短くミネラルの溶出が少ないため、軟水が多い。ただし、沖縄県のサンゴ礁が隆起した地形の地域や、山口県の秋吉台のようなカルスト台地や鍾乳洞のある地域では、炭酸カルシウムが溶解しており硬水が多い。日本では水道法に基づいて定められた水道水質基準(水質基準に関する省令(平成15年5月30日厚生労働省令第101号))において、硬度(カルシウム、マグネシウム等)の基準値が300mg/L以下と定められている。厚生省が設置した「おいしい水研究会」は1984年に「おいしい水」の要件のひとつとして硬度が10 - 100mg/Lであることを挙げており、水質管理上留意すべき項目を定めた水質管理目標設定項目でも硬度の目標値を0 - 100mg/Lとしている。沖縄県や山口県等の水道水の硬度が高い地域では、硬度を低減するために硬度低減化施設が設けられていることがある。 一方、石灰岩が多いヨーロッパでは、河川や地下水にミネラルが溶出しやすいため、ほとんどが硬水である。フランスの有名なミネラルウォーターであるエビアン(Evian) 、ヴィッテル(Vittel) 、ペリエ(Perrier) の硬度はいずれも300以上、コントレックス(Contrex) に至っては1,468に達する。しかしボルヴィック(Volvic) のような軟水も少ないながら存在する。 軟水は赤ちゃんのミルク作り、お茶やだし汁などに適している。硬水はミネラルウォーターの名の通り、ミネラル分の補給、また灰汁(あく)を析出しやすいため、昆布のグルタミン酸や鰹節のイノシン酸の抽出を阻害するので和食には適さず、灰汁の出る料理に適している。酒造では醸造過程で硬水を使用するとミネラルが酵母の働きを活発にしてアルコール発酵すなわち糖の分解が速く進むので硬水で造れば醗酵の進んだ辛口の酒になり、逆に軟水を使用するとミネラルが少ないため酵母の働きが低調になり発酵がなかなか進まないので醗酵の緩い甘口の酒に仕上がる。醤油の醸造には軟水の方が適する。 また、硬水は石鹸の泡立ちを抑えてしまう。特にアルカリ性の石鹸は成分が結合・凝固して増粘するため、すすぎで非常に苦労する。 また、中硬水は中軟水とも表記される場合がある。
※この「水の分類」の解説は、「硬度 (水)」の解説の一部です。
「水の分類」を含む「硬度 (水)」の記事については、「硬度 (水)」の概要を参照ください。
- 水の分類のページへのリンク