歌舞伎町浄化作戦とその影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 15:09 UTC 版)
「ホストクラブ」の記事における「歌舞伎町浄化作戦とその影響」の解説
2003年に東京都知事に再選した石原慎太郎は、副知事に就任した元警察官僚の竹花豊の協力で、歌舞伎町浄化作戦と称される歌舞伎町の治安改善施策を実施した。ホストクラブは風俗営業法で禁じられた深夜営業と女性客を風俗業に転職させる闇金融との関係性が問題として取り上げられた。警察はホストクラブに対し東京都迷惑防止条例にて定められたキャッチの禁止と、風俗営業法の午前零時までの客の退店の厳守を求め、これに準じない場合はホストクラブを摘発した。当時の客層の5割から7割が風俗で働く女性だったことから、大部分のホストクラブは隠れて深夜営業していた。またホストクラブでは《日の出営業》と称される午前6時からの早朝営業に切り替えた。その際ホストクラブと異なり風俗営業法で深夜営業が禁止されないホストバーを用いて、仕事を終えた風俗嬢をホストクラブの開店まで引き留めていた。2007年には新宿警察署の主導で歌舞伎町ホストクラブ協力会が結成された。これは警察主導の防犯運動にホストクラブを参加させることで地元と連携し裏社会との断絶を図るものだったが、店の経営にメリット、具体的に言えば深夜営業が認められると聞いて参加していたホストクラブが、話が違ったとして離脱していった。ホストクラブは歌舞伎町浄化作戦によって存続できる店と潰れる店に分かれ、前者の特徴について手塚はオーナーが経営を確立していた店舗と個性があった店舗だったと述べている。浄化作戦で追いやられた店舗には香咲のA151、向井のラピュタなどが挙げられた。 2008年にはリーマンショックの影響で、由良のイブなど多くのホストクラブが閉店に追いやられた。この中でトップダンディーは他店の有名ホストをヘッドハンティングで移籍させた。また、売り上げに応じた役職設定とグループでの人材育成、育った人材を用いたホストクラブの多店舗営業を行うことで、ホストのモチベーションの向上と中堅ホストの役割の明確化が起き、結果としてグループダンディーという業界1位の企業への成長を遂げた。業界トップに立ったグループダンディをまとめる高見はメディアに取り上げられ、河出書房新社が『ホストの学校 本気で一億つかむ本』の出版イベントを開く、テレビで代表の高見が定時制高校に通って大学を目指すドキュメンタリーを製作するなどした。その後グループダンディーのホストがキャッチを行ったとして警察が高見の自宅に捜査令状を持って調査した際、高見のパソコンを押収して、高見は名義に関する風俗営業法違反で検挙された。これは風俗業界では慣例となっていたため、業界最大手であるグループダンディ―の高見を検挙することは警察にとって見せしめの意義もあった。高見は起訴されて執行猶予3年の有罪判決を受けた。高見が警察に捕まっている最中、店では内紛が発生し、人員の一部がグループから離脱した。このことについて高見はグループとしてのまとまりが強固なものになったと述べている。エアーグループは同じように2000年代に成長したホストグループで、会長の桐嶋直也の意向により、美男子だけを集めたホストクラブを売りにした。その際他店から見込みのあるホストへのヘッドハンティングを行った。また店のエースホストでなくとも、見た目が桐嶋の理想に近いホストを広告で起用するようにした。歌舞伎町での地位を確立させたエアーグループは大阪のミナミ、名古屋の栄、北海道のすすきのといった歓楽街へ進出した。また、これはホスト間での美容整形手術のブームを起こすこととなった。こういったホストクラブのグループ化で最大の変化として、経営の透明化が行われた。このホストクラブのグループ戦略は他のグループにも影響を及ぼし、冬月グループ、かつてROLANDが所属していたKGグループ、シンスユーグループなど数多のグループ化が行われた。
※この「歌舞伎町浄化作戦とその影響」の解説は、「ホストクラブ」の解説の一部です。
「歌舞伎町浄化作戦とその影響」を含む「ホストクラブ」の記事については、「ホストクラブ」の概要を参照ください。
- 歌舞伎町浄化作戦とその影響のページへのリンク