欧州為替相場メカニズム未適用の欧州連合加盟国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 00:15 UTC 版)
「ユーロ」の記事における「欧州為替相場メカニズム未適用の欧州連合加盟国」の解説
デンマークを除くすべての欧州連合加盟国はユーロの導入が義務づけられているが、いまだ5か国が欧州為替相場メカニズムの適用を受けていない。このため5か国は少なくとも収斂基準の1つを満たしていないということになる。 欧州為替相場メカニズム未適用の欧州連合加盟国国通貨ISO 4217 ポーランド ズウォティ PLN ルーマニア レウ RON スウェーデン クローナ SEK チェコ コルナ CZK ハンガリー フォリント HUF ポーランドでは政界や社会におけるユーロ導入への支持が低く、欧州為替相場メカニズムに参加する見込みが少なかった。ところが2007年に政権が交代するとユーロ導入に前向きとなり、首相に就任したドナルド・トゥスクは所信表明で可及的速やかにユーロを導入すると述べた。また、クリニツァで開かれた経済フォーラムでトゥスクは2011年をユーロ導入の目標時期とした。ところが2009年8月に財務次官ルドヴィク・コテツキは、ポーランドのユーロ導入は2014年まではないということを明らかにした。その理由として、2009年のポーランドの経済成長率見込みは0.5%となるものの、2008年の金融危機がポーランドにも大きな影響を及ぼしたとしている。2016年1月現在、ユーロ導入の日程については未定である。 ルーマニアは2007年に欧州連合に加盟して以来、ユーロ導入を検討してきた。ブルガリアと同様に、ルーマニアも高いインフレーション率がユーロ導入の障害となっている。2019年時点では2024年のユーロ導入を目標としている。 スウェーデンは2003年9月14日に実施された国民投票でユーロ導入が反対されている。スウェーデンは欧州連合に加盟する際の条約において収斂基準の達成が義務づけられているが、欧州為替相場メカニズムへの不参加によってユーロ導入が不可能となっている。2013年までは再度の国民投票が実施されないことになっているが、中道右派による連立政権内では再度の国民投票を早期に実施するという意見が高まっている。さらに2008年秋の金融危機を受けてユーロ導入の議論は高まっており、スウェーデン政府は2013年という期日は守るとしているものの、財務相アンダース・ボルグはユーロ導入について支持を表明している。また有権者のあいだでもユーロ導入への支持が高まっている。2009年4月に実施された世論調査では、わずかながらも初めてユーロ導入に賛成する意見が反対を上回った。 チェコは当初、2010年のユーロ導入を目指していた。しかし、チェコでは社会基盤の整備のための出費よりも財政赤字のほうが大きいという見込みとなったことでこの導入目標は断念することとなり、政府は2012年か2013年の導入を目指すこととなった。その後さらに、ユーロ導入の期日が遅れるということへの経済的影響から、チェコ国立銀行総裁のズデニェク・トゥーマはインタビューで、2019年のユーロ導入が適切であると発言した。ところがコルナの対ユーロ相場の変動幅が大きく、また近隣4か国が2012年までにユーロを導入する見込みが大きいため、チェコもまたこれらの国やポーランドと同時期の2012年1月1日にユーロを導入すると見られていた。チェコでは2009年中にユーロ導入までのロードマップを作成し、チェコ政府も2009年11月1日を導入の方針を定める期限としている。2016年1月現在、ユーロ導入の期日は未定である。 ハンガリーは2010年にユーロに移行したいとしていた。ところが慢性的な財政不足からこの目標は断念された。ハンガリーでは対国内総生産比で毎年10%の赤字となっており、すべての欧州連合加盟国の中でももっとも高い数値となっている。2016年1月現在、ユーロ導入時期については未定である。
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