楽器としての信号ラッパ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 13:57 UTC 版)
「ビューグル」の記事における「楽器としての信号ラッパ」の解説
本来、信号伝達の手段として使用される信号ラッパも通信技術が発達した現代では、専ら慣習的あるいは儀礼的な使用が主である。一方で、現代の日本において信号ラッパは、祭典にて楽器として使用される例がいくつか認められる。 中でも注目すべき代表的な例として、浜松市にて行われる「浜松まつり」が挙げられる。 詳細は浜松まつり#ラッパを参照されたいが、浜松まつりでは全参加町において、主に幼稚園児や小学生を中心とした子供から大人までからなるラッパ隊が結成されており、祭りの主軸である凧合戦を鼓舞したり練りと呼ばれる祝い事を指揮したりする。 ラッパ隊の構成は、未就学児から小中学生らによる子供ラッパ隊であることが多く、各町とも子ども会が中心となって指導に当たっている。一般に吹奏が困難といわれる信号ラッパも幼少期から訓練することで、金管楽器の基礎的な吹奏技術を身につけられる。また、同市内のあらゆる楽器店では、国内産の高価なものから台湾製など比較的廉価なものまで多数取り揃えており、一部ではオリジナルの信号ラッパを製造・販売しているところもある。なお、ラッパ隊には必ず携帯型の平太鼓を叩く者がつき、リズムを取るために強強弱弱4拍子の単調なビートをひたすら繰り返す。 一般に、日本では日常生活、とりわけ平和な祭典において、近代的軍隊の習慣や文化に直に触れることは滅多にない。ところが浜松市民にとっては「お祭りのラッパ」として信号ラッパは日常的に親しみのある楽器となっている。そのため浜松まつりで最も多く演奏される、大日本帝国陸軍のラッパ譜「駆足行進」や「速足行進」は同市民には非常に馴染み深い曲となっており、郷土民謡や交響曲、ダンスミュージック、よさこい踊りなどにも取り入れられている。また、海軍や自衛隊、消防団の行進曲も耳にするほか、万歳三唱や三三四拍子に合わせて囃したり、独自に作曲したファンファーレを演奏したりすることもある。近年では浜松市内外問わず遠州地域各地においては浜松まつりと無関係である、五穀豊穣を祈願する神社祭礼や市民フェスティバルなど様々な祭典でもラッパを目にするようになり、一祭典文化として確立を見せ始めている。 この他にも、以下の祭典などでも信号ラッパは楽器として使用されている。 五大尊蘇民祭(岩手県花巻市) 御柱祭(長野県諏訪地方) 挙母祭り(愛知県豊田市) 美川おかえり祭り(石川県白山市) 岸和田だんじり祭(大阪府岸和田市) 菊間祭(愛媛県今治市) 藤崎八旛宮秋季例大祭(熊本県熊本市) 河尻神宮秋季大祭(熊本県熊本市) 小天天子宮火渡り神事(熊本県玉名市) 西都夏祭り(宮崎県西都市) 徳之島闘牛大会(鹿児島県徳之島)
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