日本国内での議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 15:35 UTC 版)
「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」の記事における「日本国内での議論」の解説
京都議定書の削減義務に対しては、日本国内で下記のような議論も見られる。 基準年を1990年に設定したのはロシアの批准を促すことなどにも配慮されたという国際政治の現場にありがちな話を指摘する向きや、「産業界を中心に世界有数の環境対策を施してきた日本が6%もの高水準を求められている」といった論調により、「この議定書が締結・発効に至る過程で政治的に歪められている」とする意見が散見される。 しかしながら、仮に日本が「産業界を中心に世界有数の環境対策を施してきた」としても、人口一人あたりの化石燃料由来温室効果ガスの排出量は高く、温室効果ガス排出量の削減もできていない。 京都会議の議長国であった日本には、会議を成功させるという、国内外の世論によるプレッシャーがかかっていた。会議をまとめやすくするという外務省の思惑と、国内の温暖化対策を加速させるという環境省の思惑とがあった 日本の数値目標が-6%になった経緯は日米欧の非公式会合での政治的合意によるものであり、アメリカと日本が足並みをそろえたのは、途上国の参加を促すためであったが、米上院はバード・ヘーゲル決議を採択していたので、途上国が参加しない場合など、3項に当てはまる場合は、上院が議定書を批准しないことが決まっていた。また、欧州やロシア、米国は、それぞれの国のエネルギー事情から、数値目標が達成可能かどうかや、経済に与える影響をあらかじめシミュレーションしていたが、日本は6%に対して、裏づけがないまま合意に至っている。 日本の達成が難しいと囁かれ始めた 2007年頃になって、京都議定書自体が欧米諸国による政治的な圧力であるという陰謀論(そもそも根拠が示されていない、既に支持を失った議論を蒸し返しているなどの理由により懐疑論にもなり得ていないもの)が、一部評論筋や個人の論評などで、にわかに唱えられはじめるようになった。 ポスト京都議定書の協議が始まるようになると、温室効果ガス排出量削減の必要性は認めながらも「最も二酸化炭素排出量の多い産業である鉄鋼業では、日本のエネルギー効率は高いことから削減余地が少ない(のだから他国に削減させるべきである)」といった主張が、主に利益団体より出されるようになった。
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