日常の俗説と科学的方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/20 23:09 UTC 版)
「科学的方法」の記事における「日常の俗説と科学的方法」の解説
(メディア・リテラシー、集団ヒステリーも参照のこと) マスコミや、一般書籍などを通じて行われる話題、例えば、「食の安全」、「少年犯罪の凶悪化」、「学力低下」、「ゲーム、マンガ害悪説」、「健康法」に関して、 口当たりのいい表現(マジックワード、奇麗ごと) 統計データの無視、曲解 などを巧みに用いて、いい加減な俗説、扇動的議論を垂れ流すものがある。さらに、いい加減な俗説の根拠を定量的に検証することや、あるいは、対案を議論するための調査自体が、一種のタブーとなっている場合もある。 また、このような扇動的議論が、社会的に意味を持ち、合意形成の上で重要な役割を担ってしまうことが、現在、過去、国内外を問わずある。 例えば、窒息頻度が1億分の0.16(参考:もち 一億分の6.8、あめ 一億分の1.0)のこんにゃくゼリーのみに窒息の危険性を理由に製造中止措置が取られる等、統計的なエビデンスとはあまり関係なく論理的な整合性に乏しい規制がとられることがある。この事例は、「人が死んだ」、「海外でも規制」というマジックワードが意思決定において尊重された例である。 また、「漫画やアニメ、ゲームの表現規制」などがよく取り上げられる。この問題に関しては、例えば「架空の青少年の性的表現を含む創作物と性犯罪等の関係を示すデータが示されていない」点において、科学的でない議論が行われているとする意見がある。この例において、「架空の青少年の性的表現を含む創作物は、性犯罪を増加させる」という主張は、 「先行して規制を行った諸国における犯罪件数の推移と、国内の犯罪件数の推移の比較」 「架空の青少年の性的表現を含む創作物の販売件数の推移と、国内の犯罪件数の推移の比較」 などの、既存の統計から成否を判断できる。このような簡単なデータを議論の対象としない(あるいは、調べてもいないということは)、少なくともエビデンスベースとは対極にある姿勢であり、科学的ではない。 また、2000年代前半ごろから、「ゲームをすると、脳が破壊される(ゲーム脳)」等といったいい加減な学説が、科学的検証を受けずに流布しており、一部の科学的方法に理解の乏しい教育者が無批判に、教育方針に取り入れている場合がある。 大昔の事例としては、禁酒法、魔女狩りなども、口当たりのいい表現に基づいた、科学的根拠のない判断である。 ここまで分かりやすい、つまり、当該分野の専門的な知識がなくても、議論のおかしさが大体わかる例はそこまで多くないが、それでも、どのような議論でも、エビデンスを無視した科学的方法とは対極にある判断が含まれていることは、よくある。 このような事例に対して、ロジカルシンキングやクリティカルシンキング等の手法から、解説した書物が、近年相次いで出版されているなど、(例えば)一定の関心がはらわれるようになっている。このような関心に答える一連の知識体系を、メディアリテラシーという。
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