方法論・教育法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/22 04:26 UTC 版)
シュタイナーは「現代の人間はスズメバチのようである」とし、頭脳ばかり発達して意志が伴わない状態におかれている事を危惧した。シュタイナー教育の目指すものは、宇宙にある諸事物の理念を、人間と結びつけて理解し、それによりミクロコスモスとしての子供自身(人間)を活き活きとした理念で満たすことである。その手法として、芸術が重要視される。オイリュトミー、フォルメンのほかに、造形絵画、童話、物語、詩、演劇、合唱、器楽演奏など幅広い芸術教育が行われる。シュタイナーは、芸術活動における記憶とファンタジーが、人間の生命発展力につながる点を強調している。芸術を通して人間の4層に働きかけることが教育実践でとくに注目される事である。それは以下のような特徴的な教科でのみならず、国語や算数といった公教育で主要科目とされる授業の中でも目指していることである。前述の七年期にみられる、年齢と教育を結びつけた考え方から、年齢主義を基本とする運営がなされる。 子安美知子は、シュタイナー学校の教育実践の特徴として、以下の4点を挙げている。 毎日、第1時限目は100分間の「エポック授業」となっており、「エポック授業」内では同一科目を三週間程度連続・集中的に学習する。 教科書を使用せず、「エポック授業」の内容が切り替わるごとにノートを新しくして、授業内容を生徒自らが書き入れる。このノートを「エポックノート」と呼び、最終的にはこれが「自作の教科書」となる。 1年生から8年生までは同一の担任による「持ち上がり」制であり、9年生から12年生までは「担任」を置かず、「エポック授業」を担当する教師がクラスの「相談役」となる。 テストと点数評価が存在せず、通信簿には教師による詳細な人間描写と、各教科での成長プロセスの記述が行なわれる。 シュタイナーは自身の著作や講演のなかで、教条(ドグマ)的に方法論を固定することを戒めており、すべての教師が共有しなければならないのは、人智学による人間観だと述べている。ある教師によって行われた授業が優れたものであっても、他の教師たちがその方法論だけに着目し真似をすれば、教師の実践の背後にあるべき人智学による人間観は希薄になる。大野裕美は、シュタイナー教育で最も重視されるのは、子供の本質を人智学的に捉える思考方法そのものであり、教育実践のマニュアルではないと述べている。
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