教会の母であるマリア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 16:11 UTC 版)
聖母マリアに保護を願う祈りの歴史は古く、最古とされるものは、エジプトのパピルスの断片に書かれた祈りで、西暦200年代中期頃のものとされる。『教会憲章』に述べられているように、マリアに執り成しを願うことは、神がマリアを特別に選んだという考えに基づいている。教会の頭であるキリストを生んだマリアは、恵みの領域において教会の母である。マリアは天に上げられた後も、限りないキリストの功徳をもって、危険や困難に取り巻かれている人々が、無事に天国にたどりつけるように守り助ける役割を果たし続けているとされる。 16世紀の宗教改革以来、カトリック教会が持ち続けた聖母マリアに対する崇敬は、独自のものであり、神に捧げられる礼拝とは本質的に異なったものとして扱われている。『教会憲章』では、教会が認可する神の母に対する信心は、母マリアが讃えられる時、神である御子イエス・キリストが正しく知られ、愛され、讃えられ、その言葉が守られるためとされている。 聖母マリアは、自分の受胎の最初の瞬間から、「あらゆる原罪の汚れから免れた者」であり(無原罪の聖マリア)、 「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」 — 日本聖書協会『聖書 新共同訳』、ルカによる福音書 1章28節 神の救いのみ心を受託し、自由な信仰と神への従順をもって人類の救いに協力したとされる。 「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」 — 日本聖書協会『聖書 新共同訳』、ルカによる福音書 1章38節 受胎告知 そして、十字架上で死に向かうキリストの言葉によって、マリアは母として弟子に示された。 「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です。」 — 日本聖書協会『聖書 新共同訳』、ヨハネによる福音書 19章26-27節 神の恵みによってキリストの諸神秘に関わり、地上での生活を終えてのち、マリアは肉体、霊魂ともに天の栄光に引き上げられた(聖母の被昇天)。そして、子に次いですべての天使と人間の上に高められた(天の元后聖マリア)。 カトリック教会におけるマリア論の教義は、聖書と聖伝との必要な相互補足、正しい関係を前提としている。マリア論は教父や神学者の著作や教会の公文書が根拠となっているが、その不可欠な土台は聖書にある。聖書と聖伝は、同じ神的起源に由来するものであり、どちらもキリストの神秘を教会の中に現存させ、豊かにするものである。互いに密接に通じ合い、結ばれている。
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