教会の玉座
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 09:23 UTC 版)
古代から、ローマカトリック教会、東方正教会、聖公会、その他の教会の司教たちは、正式には司教座「カテドラ(ギリシャ語: κάθεδρα、座席)」と呼ばれる玉座に着席する。伝統的に聖域に置かれている司教座は、正しい信仰を施す(ゆえにエクス・カテドラ(Ex cathedra)という表記)そして信者らを統率する司教の権威を象徴するものである。 「エクス・カテドラ」とは説教の権威を指すもので、特にローマカトリックのカノン法の下でローマ教皇の宣言が「不可謬」であるため必要とされる、ごく稀にしか使われない手続きである。このカテドラ(司教座こと玉座)の存在から、俗世の君主に匹敵する重要度がある(たとえ司教が俗世的には教会の君主でなくとも)として、司教の主教会はカテドラルと呼ばれる。 ローマカトリック教会では、バシリカが現在では教皇の天蓋オンブレリーノだとされ、教皇のレガリアの一部として多くの大聖堂やカトリック教会にもおおむね類似の重要性や荘厳さが適用される。 司教以外でも、修道院長や女子修道院長など一部の高位聖職者は玉座の使用が認められている(この場合は役職席くらいの意味しかない)。これらは司教座よりも簡素であることが多く、宗派によっては様式や装飾に制限があったりもする。 区別の印として、ローマカトリックの司教と高位聖職者は、特定の教会の行事でその玉座の上に天蓋をかぶせる権利を有する。天蓋の典礼色は法衣の典礼色に一致させるのを基本とする。国を統治する君主が礼拝に出席するとき、彼らもまた天蓋に覆われた玉座に着座することが許されるが、彼らの席は聖域の外側でなくてはならない。 正教会において、しばしば司教の玉座は足元に一対のライオンが座っているなどビザンティンからの伝来品と、修道院聖歌隊のストール(Kathisma)とが組み合わさった特徴が見られる。 キリスト教における「玉座」という用語は、教会権威のうち総主教を指して使用されることが多い。例えば「エキュメニカルの玉座」とはエキュメニカル総主教の権威のことである。 自身の司教座聖堂にいない時、司教たちは典礼目的を全うするために折り畳みストール(en)を使うこともある。
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