戦争犯罪に対する動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 17:01 UTC 版)
「2022年ロシアのウクライナ侵攻」の記事における「戦争犯罪に対する動き」の解説
2月28日、ICC主任検察官(英語版)のカリム・カーン(英語版)は、ウクライナにおける戦争犯罪や人道に対する罪に関する捜査を開始する意向を表明した。ロシアとウクライナはICCローマ規約の締結国ではないが、犯罪が行われた国家が非締結国であっても、ICCの管轄権を受諾した場合は捜査が可能となる。 3月2日、ICCは、各国およびヒューマン・ライツ・ウォッチの要請を受け、ウクライナにおける戦争犯罪や人道に対する罪について、捜査を始めると発表した。 4月3日、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、目撃者や被害者に対する電話の聞き取り調査をもとに、ウクライナ各地での処刑などの実態を告発した。 4月4日、ウクライナ国防省情報総局は、ブチャでの戦争犯罪に関与した可能性があるロシア兵1,600人余りの名簿を公式ホームページで公開した。名簿には氏名や階級、生年月日などが記載された。 4月5日、ベネディクトワはロシア軍による約5,000件の戦争犯罪を捜査していると明らかにした。 4月12日、フランス国家憲兵隊犯罪調査研究所(フランス語版)の専門家18人がブチャに入り、戦争犯罪の証拠集めに着手した。同研究所によると、調査結果は国際刑事裁判所に提供される予定。 4月13日、カーンはブチャを訪問。国際刑事裁判所の公式Twitter上で「真実にたどり着くためには、戦争の霧を突き破らないといけない」と述べた。 同日、OSCE(欧州安全保障協力機構)は、ロシアがウクライナ侵攻の際故意に民間人を襲ったとして、これは国際法違反で戦争犯罪にあたるとする報告を発表した。この報告書では3月9日のマリウポリの産婦人科病院への攻撃はロシア軍による犯行だと断定した。明らかな民間医療施設であるにも関わらず、事前警告や退避期限の告知なしに攻撃したことなどから、意図的に民間人への被害を狙ったもので国際人道法違反と判断された。ロシア側は産婦人科病院は軍事に流用されていたと主張していたが、オープンソースで得られる情報、地域で活動していた人権団体や非営利団体による報告などから総合的に判断した。多くの民間人が避難していたマリウポリの劇場への3月16日の攻撃も国際法違反で戦争犯罪に該当する可能性が高いとした。OSCEにはロシアやベラルーシも加盟しているが、報告書承認の投票は棄権した。なお報告書では4月1日までの攻撃しか分析しておらず、個人の責任追及までは踏み込んでいないことなどからさらなる調査分析が必要とした。 5月13日、キーウの裁判所にてロシア兵の戦争犯罪を問う公判が初めて開かれた。被告は2月28日にウクライナ北東部のチュパキフカ村で自転車に乗っていた非武装の民間人を殺害した容疑が持たれていた。同月23日、有罪が確定し、終身刑が言い渡された。 5月19日、ニューヨーク・タイムズはロシア空挺軍部隊が3月4日、ブチャでウクライナ人男性を少なくとも8人処刑したとする調査報道記事を掲載した。 6月6日、国連安全保障理事会はウクライナにおけるロシア兵による性暴力被害を議論する公開会合を開いた。性的暴力に関する事務総長特別代表事務局(OSRSG-SVC)(英語版)特別代表のプラミラ・パッテン(英語版)によると、3日までに子供49件を含む124件の訴えが寄せられた。実際の被害は更に多いとみられ、氷山の一角にすぎないと指摘した。会合には欧州理事会議長のシャルル・ミシェルも出席し「これらの犯罪は罰されなければならない」と証拠保全への協力を強調した。
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