憲法上の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 14:50 UTC 版)
「アメリカ合衆国大統領の継承順位」の記事における「憲法上の問題」の解説
これまでに数名の憲法学者が、下院議長と上院仮議長が大統領職を継承するという規定の合憲性に関する問題を提起してきた。憲法起草者の1人であるジェームズ・マディソンも、エドモンド・ペンドルトンに宛てた1792年の書簡の中で、1792年大統領継承法に関して同様の合憲性に関する問題を提起した。これら2つの問題は、次のように要約できる。 憲法の関連条項中にある「幹部 (Officer)」という語は「アメリカ合衆国の政府幹部」を意味し、それは行政府や司法府の一員であろうとの解釈が最も有力である。下院議長や上院仮議長は、こうした意味での幹部ではない。 三権分立の原則の下、憲法は立法府の吏員が行政府にも勤めることを明確に否定している。下院議長や上院仮議長が大統領代行になるためには、彼らはその職を辞する必要があるが、その時点で彼らはもはや継承順序の枠から外れてしまう。この事実は、いくつかの点で憲法上のパラドックスを形成する。 2003年、政府連続性委員会(無党派の民間シンクタンク)は、現行法には「注意に値する……重要な問題が、少なくとも7点存在する」と示唆した。 現在の継承順序の中にいる者は、全員ワシントンD.C.の近辺に居住し、勤務している。核兵器や化学兵器、生物兵器による攻撃があった場合、名簿に載っている者全てが死亡し、あるいは執務不能に陥る事態が考えられるし、そうなる可能性すらある。 議会の指導者らに大統領の職務を執行する資格があるのかという疑義(例えば上述の、ジェームズ・マディソンによる疑義)。 「伝統的に多数党の最長老上院議員によって占められてきた名誉職」としての上院仮議長を継承順序に含めることが、果たして賢明なのかという懸念。例えば、2001年1月20日から同年6月6日まで、上院仮議長はサウスカロライナ州選出のストロム・サーモンド(98歳)であった。 下院議長や上院仮議長が必ずしも大統領と同じ政党に所属するわけでないがために、現在の継承順序が任期途中の大統領に突然所属政党の転換を強いることになりかねないという懸念。 各省長官の技術や能力が考慮されぬままに、所轄する省の創設日によって継承順位が決定されてしまうことへの懸念。 実際問題として、いずれかの閣僚が大統領の職務を開始せねばならない。法律は下院に対し、いつでも閣僚を解任して自らがその職に就く権限を実質的に有する、新たな下院議長(上院の場合であれば、新たな上院仮議長)を選出する権限を付与している。 大統領が障害を負い、かつ副大統領職が欠けた場合(たとえば、暗殺の企てによって大統領が負傷し、同時に副大統領が殺害されるなど)に関する法律の欠如。
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