憲法上の副署・連署
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/24 07:25 UTC 版)
一般に法令の公布には、内閣総理大臣およびその他の国務大臣の署名が必要である。 大日本帝国憲法の下では、主に公文式(明治19年勅令第1号)や、公式令(明治40年勅令第6号)に詳細が定められており、天皇が署名し、署名した年月日を記し、次に国務大臣が副署を行う形式であった。 日本国憲法の下では、憲法第74条に規定されており、主任の国務大臣が法律・政令の末尾に署名し、その最後に内閣総理大臣が連署を行う形式をとる。主任の大臣が複数あるときは署名は建制順による。また、当該法律・政令に関して内閣総理大臣自身が主任の大臣である場合は主任の大臣の筆頭に署名をする。したがって、内閣総理大臣自身が主任の大臣として署名の主体となるときは連署は行わない。 旧憲法下の「副署」が国務大臣の輔弼についての責任を表示するものであったのに対して、現行憲法下の「連署」は法律・政令に対する内閣自身の執行・制定についての責任を表示するものであることから両者はその性格を異にする。今日の通説的見解の立場によれば、憲法第74条の署名・連署は執行の責任を表示するという性質のものであり、これを欠いていても法律・政令の効力やこれらの執行の責任には影響しないものと考えられている。 現行憲法下においても法令の公布や解散詔書などに「副署」が行われ、これは憲法74条に規定する「署名」や「連署」とは異なるものであるが、天皇の国事行為において内閣による助言と承認があったことを内閣総理大臣が内閣を代表して確認を行うもので慣行として適当なものであると評価されている。 なお、これら副署・連署は大臣本人が御署名原本に毛筆でおこなうため、歴史的・美術的に価値ある資料でもある。
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