感銘を受ける

実用日本語表現辞典

感銘を受ける

読み方：かんめいをうける

「感銘を受ける」とは、深い感動を胸にしっかりと刻むという行為のことを意味する表現。

「感銘を受ける」とは・「感銘を受ける」の意味

「感銘を受ける」とは、「忘れられないほど深く心を動かされること」「深く心に刻まれていつまでも忘れられないほど感動すること」の意味となる。感銘の「感」は、深く心が動くさまをいい、「銘」は、優れたもの・上等品、しっかりと心に刻むこと、書きつけておくことなどの意味を持つ言葉。すなわち感銘とは「その素晴らしさに深く心が動き、しっかりと心に刻んで忘れられないこと」をさし、その状態に導かれることをさして「感銘を受ける」と表現する。

「感銘を受ける」は、優れたものに心を動かされるという受け手の行為をいうもので、上下関係が存在して自分がへりくだるシチュエーションなどで用いられやすい表現である。そのため、日常で上司など目上の人と交わす会話の中や、入社を志望する会社の面接試験などで頻繁に使用される言葉でもある。面接試験では、会社の経営理念や事業内容への共鳴を具体例を挙げながら示し、「感銘を受ける」という言葉を用いて志望動機とする。上司など目上の人の業務運営や経営手腕を評する場合にも「感銘を受ける」は適切な表現である。「感銘を受ける」は、「感銘を覚える」「感銘に見舞われる」などと言い換えることもできるが、「感銘する」という言い換えには上下関係が反映されにくく適切ではない。また感銘は「肝銘」と表記しても伝わる意味はほぼ同じである。

「感銘を受ける」と似た表現に、「感心する」がある。感心するとは「何かに素晴らしさを感じて深く感動すること」をいい、意味上は感銘を受けると大きな違いはない。しかし、上司をはじめとする目上の人に対して使用するのは適切ではない。なぜなら「感心する」には、人を評価するニュアンスがうかがえるからである。「社長の経営手腕には感心いたしました」という場合、その言葉には発話者のジャッジが垣間見える。そのため、言葉の受け手は目下の者に評価されたとして失礼に感じるのである。加えて、「感心する」には、相手に対する一種の皮肉表現とも捉えられる使い方がある。これらを総合的に判断すると、目上の人に対しては「感心する」ではなく「感銘を受ける」と使用する方が無難である。

「感銘を受ける」の熟語・言い回し

とても感銘を受けるとは

「とても感銘を受ける」とは、感銘の受け方がこの上なく、甚だしいまでに心が動かされたという意味となる。感銘自体に強く心が動かされるという意味があるので、それ以上に感服・敬服したという最上級の程度を示す表現である。

「感銘を受ける」の使い方・例文

「感銘を受ける」の例文としては、文学作品に「一生忘られない感銘をうけたことがなかったとは、けっしてけっしていえないであろう（「歌声よ、おこれ」宮本百合子）」、「ただ我執の立場にとどまる旅行記からは、我々は何の感銘も受けることができない（「『青丘雑記』を読む」和辻哲郎）」 などが見られる。

また一般的な使い方としては「面接の際には、志望する企業のどの点に感銘を受けたのか、具体的に伝えることが大切だ」、「後輩が懸命に努力するのを見て感銘を受けた」、「彼はこれまで何事にも感銘を受けたことがなく、無関心な態度を貫いてきた」、「社長の言葉には本当に感銘を受けた」、「逆境にも負けず、生命力あふれる絵画を描き続けてきた彼女の生き方には言葉にできないほどの感銘を受ける」、「感銘を受けた体験は、その後の人生を左右するほどの影響力を持つ」、「小学校の頃に読んだ物語に感銘を受けて、医学の道を志すことを決めた」、「恩師にかけてもらった言葉に深い感銘を受けて、私は立ち直ることができた」、「誰一人取り残さないという活動理念に感銘を受けて、このプロジェクトに参加したいと思った」などを挙げることができる。

（2023年2月1日更新）

感銘を受ける

読み方：かんめいをうける
別表記：肝銘を受ける

「感銘を受ける」とは、「深く感動する」「強烈な印象が心に刻まれて後々まで忘れないだろう（そのくらい感動した）」という意味で用いられる表現である。つまり「たいへん感動した」旨を表現する言い回しの一種である。

「感銘」は「肝銘」とも表記できる。「肝に銘じる」という言い回しがあるように、「肝銘」からは「心に刻まれて決して忘れない」という意味合いで用いられる言葉である。「感銘」にも多かれ少なかれ同様のニュアンスが含まれていると解釈できよう。

「感銘」は名詞およびサ変動詞として使える。つまり「感銘する」という言い方でも使える。たとえば、「感銘しました」という表現は、日本語として正しい。とはいえ実際には「感銘を受けました」という言い回しが用いられやすい。

（2010年10月28日更新）