心筋梗塞
心発作(Heart attacks)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 02:07 UTC 版)
「ロシグリタゾン」の記事における「心発作(Heart attacks)」の解説
承認前の臨床試験で発現した虚血性心不全のリスクは他薬と同程度であった。しかし、LDLコレステロール値増加、LDL/HDL比上昇、トリグリセリド増加、体重増加が見られた。 2005年、WHOの主張に拠ると、GSKは37の臨床試験のメタアナリシスを実施し、ロシグリタゾンのハザード比が1.29(95%信頼区間:0.99〜1.89)であることを承知していた。2006年には、GSKはデータを追加して42試験を統合し、ハザード比が1.31(95%信頼区間:1.01〜1.70)となることを掴んでいた。GSKは解析結果をFDAに通知したが、FDAも他の国も、医師や患者に警告を発することは無かった。 2007年5月に報告されたメタアナリシスでは、コントロール群に比べて心発作リスクが1.4倍上昇し、心血管関連死が増加(有意差無し)するとされた。このメタアナリシスで採用された42試験の内27試験は未公表であった。もう一つ、患者を1年以上追跡した4試験を統合したメタアナリシスでも同様の結果であった。 米国FDAは2007年5月21日に警告を発表した。7月30日にFDAの諮問委員会はロシグリタゾンがプラセボに比べて虚血性心疾患リスクを増大させると結論づけたが、いくつかの長期追跡型前向き臨床研究のデータは、メトホルミンまたはスルホニルウレアと比べてロシグリタゾンは心発作リスクを上昇させないとするものであった。このデータはメタアナリシスの結果と共にFDAに渡され、ロシグリタゾンと虚血性心不全との関連はないと報告された。しかしこのメタアナリシスは中間解析で虚血性心不全を評価できるようデザインされたものではなく、いくつかの報告書は論点について結論を得られていなかった。 2000年に、EMAは心血管関連の安全性を確認するために臨床試験を実施するよう指示した。GSKはそれに従い、長期間の市販後臨床試験(RECORD試験)を立案して、スルホニルウレアまたはメトホルミン併用時の心血管障害の罹患率・死亡率を確認する事となった。その結果は2009年に公表された。スルホニルウレアまたはメトホルミン併用ロシグリタゾン投与は心血管イベント・死亡を増加させないというものであった。しかし欧州当局は、試験デザインの限界等により、心血管イベントを証明も否定もできていないと判断した。 2010年2月、FDAからロシグリタゾンを市場から撤退させるように意見が出た後、2010年7月、227,571人の米国人高齢者での後向き試験(ロシグリタゾンとピオグリタゾンの比較)が公表され、「65歳以上の患者では脳卒中、心不全、全死亡のリスクが上昇し、心筋梗塞・脳卒中・心不全・全死亡のいずれかが発生するリスクが増大する」とされた。ロシグリタゾンのNNH(害必要数)は60であった。ロシグリタゾンは比較相手薬より心発作(heart attacks)を500件、心不全(heart failures)を300件多く発生させた。2010年にメタアナリシスがアップデートされ、統合された臨床試験は56試験となった。2009に発表された非盲検のRECORD試験も含まれていた。メタアナリシスの結果は叉も心筋梗塞リスクの増大を示していたが、心血管死増大は示さなかった。2011年に drug class review は心血管障害リスクの増大を報告した。 2011年3月、観察研究を16個統合したメタアナリシスが公表され、日常生活におけるロシグリタゾンの心不全、心筋梗塞、死亡のリスクがピオグリタゾンより高いことが確認された。そのメタアナリシスはロシグリタゾンまたはピオグリタゾンを服用している患者、計81万名を対象としていた。ロシグリタゾン服用患者でのリスクはピオグリタゾン服用患者に比べて10万人辺り、心筋梗塞170件、心不全649件、死亡431件多いというものであった。リスクの上昇は、もう一つのメタアナリシス(後向きコホート研究8つを統合。患者数:945,286名。)でも確認された。 2012年、米国司法省はGSKに対して、2001年から2007年までにアバンディアの心血管障害に関する2つの臨床試験の結果を隠匿した等の罪で30億ドルの支払いを命じた。
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