承認およびその後の臨床研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 02:07 UTC 版)
「ロシグリタゾン」の記事における「承認およびその後の臨床研究」の解説
ロシグリタゾンは1999年に米国で、2000年に欧州で承認されたが、欧州医薬品庁(EMA)は長期投与時の副作用に関する市販後臨床試験を2つ(慢性心障害と他の心血管障害)実施するよう命じた。この薬は2型糖尿病患者の血糖値管理のために承認されたが、承認に係る臨床試験で評価されたのは代替エンドポイントであるヘモグロビンA1cであって、本来のエンドポイントである糖尿病慢性期合併症(小血管障害、大血管合併症(心筋梗塞、脳梗塞等)、皮膚合併症、下肢合併症、その他)や死亡のリスクではなかった。ただしこれは他の抗糖尿病薬でも同様である。この時公表された臨床試験では、患者の死亡率、合併症罹患率、副作用、QOL等が患者に有利に変化する確証は得られていなかった。 2007年にNEJMにメタアナリシスの結果が公表され、心障害リスクの上昇が報告された。ロシグリタゾンの心発作および死亡リスクは、2型糖尿病における血糖降下のベネフィットを遥かに上回るものであった。 ロシグリタゾンは市場から撤退すべきという意見が一部にあったが、アメリカ食品医薬品局(FDA)はこれを却下し、米国市場で引き続き入手できることになった。2011年11月から2013年11月まで、連邦政府はアバンディアの販売時に認証済みの医師からの処方箋を義務付け、さらに患者に心発作リスクの説明をする事と特定の薬局のみから入手できる様にすることを求めた。 2009年に公表されたRECORD試験(非盲検無作為化臨床試験、実施期間6年間)の結果、心筋梗塞リスクの上昇が見られなかったとして、2013年11月に販売規制は解除された。 一方欧州では、ロシグリタゾンのベネフィットがリスクを下回るとして、EMAが2010年9月に承認を停止した。これによってロシグリタゾンは2010年にイギリスおよびインドの市場から、2011年にニュージーランドおよび南アフリカの市場から撤退した。
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