承継的共同正犯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 05:50 UTC 版)
承継的共同正犯とは、先行者が既に実行行為の一部を行い、その実行行為が終了する前に後行者が共同実行の意思を持って実行行為に参加する場合をいう。 この場合に、後行者は自らの加功前の事実についても共犯としての罪責を負うのかについて学説上争いがある。 判例は、最決平成24年11月6日刑集66巻11号1281頁において、「被告人は,被告人の共謀及びそれに基づく行為と因果関係を有しない共謀加担前に既に生じていた傷害結果については,傷害罪の共同正犯としての責任を負うことはなく,共謀加担後の傷害を引き起こすに足りる暴行によって傷害の発生に寄与したことについてのみ,傷害罪の共同正犯としての責任を負う。」と判示し、少なくとも傷害罪については、全面的に承継的共同正犯を肯定する見解に立っていないことを明らかにしている。 なお、本決定においては、千葉勝美裁判官の補足意見が付されており、「いわゆる承継的共同正犯において後行者が共同正犯としての責任を負うかどうかについては,強盗,恐喝,詐欺等の罪責を負わせる場合には,共謀加担前の先行者の行為の効果を利用することによって犯罪の結果について因果関係を持ち,犯罪が成立する場合があり得るので,承継的共同正犯の成立を認め得るであろう」と述べている。
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