承継取得
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/02 14:54 UTC 版)
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承継取得(しょうけいしゅとく)とは、所有権の取得のうち、前の所有者(前主)の所有権を引き継ぐ(承継する)形で所有権を取得するもの[1][2]。承継的取得ともいう[3]。
概説
承継取得は取得した権利の根拠が前主(その権利を前に有していた者)の権利にあり、その権利の同一性を維持したまま権利が移転する形態をいう[4]。所有権に設定された地上権や抵当権などの制限物権は所有権の上に設定された負担として引き継がれることとなる[2]。
承継取得と対となる概念は原始取得(原始的取得[3])である。原始取得は取得した権利の根拠が原始的(原初的)に成立する場合をいう[4]。原始取得には無主物先占、遺失物拾得、埋蔵物発見、添付(付合、混和、加工の総称)などがある[4]。
民法第2編第3章第2節(所有権の取得)に定められている所有権の取得原因はすべて原始取得である[4]。しかし、現代社会において所有権の取得原因として最も主要かつ重要なものは法律行為(売買契約等)及び相続でいずれも承継取得である[4][1]。
なお、即時取得は「取引行為」(民法第192条参照)を前提としているが、承継取得ではなく原始取得の一態様とされている[1]。時効取得も原始取得の一態様とされている[1]。これらが原始取得とされるのは前主の権利に付着していた負担が取得時に払い落とされることを説明するための法的構成にすぎない[1]。
承継取得の特徴
例えば、売買や贈与など契約による所有権の移転、権利者の死亡により起こる相続による所有権の移転などは、前者に権利があることを前提としてその権利をそのまま引き継ぐものである。このように、前の権利者の権利に基づいて権利状態を引き継ぐことを承継取得という。権利の取得は承継取得と前の権利者に関係なく取得する原始取得に大別されるが、先に示した例で分かるように一般的な権利の取得のほぼ全ては承継取得であり、後者の原始取得は極めて例外的な取得原因である。
権利状態をそのまま引き継ぐというのは、前者が有した権利に付随する状態も引き継ぐということである。例えば、土地(所有権)の売買の際に、対象の土地に地上権や抵当権が設定されている場合には、その地上権や抵当権がついたまま所有権が移転するということである。対して原始取得であれば権利状態を白紙にして引き継ぐので、地上権や抵当権などが設定されていても承継の際にそれらは消滅する、というように異なる。
参考文献
- 内田貴:民法1 総則・物権総論(東京大学出版会、第3版)ISBN 978-4-13-032331-4
- 金子宏、平井宜雄、新堂幸司: 法律学小辞典(有斐閣、第4版)ISBN 978-4-64-100023-0
脚注
関連項目
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承継取得
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/11 01:12 UTC 版)
承継取得とは、既に存在する不動産を譲り受けることを指す。 土地・家屋の売買・交換・贈与・財産分与等 但し、例外として以下のような非課税規定がある。 非課税団体:国・地方公共団体などによる不動産の取得は課税の対象外である(地方税法第73条の3)。 形式的取得の非課税:相続(包括遺贈を含む)・法人の合併・共有物分割などによる不動産の取得は、形式的な取得として課税の対象とはならない(地方税法第73条の7)。 用途による非課税:公共用道路・保安林・墓地・公共用運河・水道用地・用悪水路・ため池・堤とう・井溝の用に供するために取得した土地は、課税の対象とならない(地方税法第73条の4第3項)。 区画整理による換地の取得は、非課税である。 そのほか、政策的な理由による非課税規定が多数ある。
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「承継取得」の例文・使い方・用例・文例
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