包括遺贈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 15:45 UTC 版)
遺産の全部または一部を割合をもって示し対象とする場合を包括遺贈という。 包括受遺者は相続人と同一の権利義務を持つ(990条)。そのため、遺言者に借金などの消極財産があれば遺贈の割合に従って引き受けなければならない。また、包括遺贈の放棄は自己のために遺贈のあったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して申述をしなければならない(990条・915条1項)。 なお、「全財産を妻Xに遺贈する(または、相続させる)。ただし、子Yが18歳に達した時にはYが当該財産を受け継ぐこととする」といった、順次財産を受け継ぐ者を指定する形の遺贈を、後継ぎ遺贈という。後継ぎ遺贈について民法は何ら定めていないため、この形態の遺贈が認められるかどうかについて解釈が定まっていない。判例は認めている(最判1983年(昭和58年)3月18日家月36巻3号143頁)が、否定説も有力である。また、仮に後継ぎ遺贈が認められるとしても、相続開始後に法的状態の不安定化および手続上の煩雑さといった弊害を生むことになる。 2007年9月30日に施行された現行信託法においては、新たに後継ぎ遺贈型受益者連続信託が認められている(信託法3条2号・88条1項・89条2項)。これにより、後継ぎ遺贈と同様の効果を得ることができる。ただし、この場合の相続税の課税関係については明らかになっていないため、注意が必要である。
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