試験デザイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 08:46 UTC 版)
「サクビトリル・バルサルタン」の記事における「試験デザイン」の解説
この薬がFDAに承認された根拠となった第III相試験のPARADIGM-HF試験については、賛否両論があった。例えば、BMJブログで主要な医学論文のレビューを毎週書いている医師のRichard Lehmanと、2015年12月の臨床経済評価研究所(ICER)の報告書では、臨床試験のデザインがあまりにも人工的で、医師が通常遭遇する心不全患者を反映していなかった為、リスク・ベネフィット比が適切に決定されなかったとしている:28。2019年、PIONEER-HF試験とPARAGON-HF試験は、其々重度の心不全で最近入院した800人の患者と、心不全の症状がそれほど重くない4800人の患者を対象に、サクビトリルバルサルタンの効果を検討した。本薬は、様々な患者を対象とした3つの試験全てにおいて、現行の治療法と比較して、超低血圧の発生率が高い等、一貫して同程度の安全性を示したが、より進行した心不全の患者にのみ有効性を示した。2015年12月、Steven Nissenを始めとする心臓病学のオピニオンリーダー達は、サクビトリルバルサルタンの承認が2015年の心臓病学の臨床に最も大きな影響を与えたと述べ、Nissenは本剤を“正に画期的なアプローチ”とした。 ある2015年のレビューでは、サクビトリルバルサルタンは「駆出率低下を伴う心不全の慢性的な治療における進歩」を意味するが、本剤で広く臨床的成功を収めるためには、適切な患者、特に臨床試験集団に類似した特徴を持つ患者への使用に注意を払う必要があると述べられている。また、2015年に発表された別のレビューでは、サクビトリルバルサルタンによる死亡率および入院率の低下を「印象的」としながらも、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、高齢を伴う心不全患者への効果をさらに評価する必要があるとしている。
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