後期:『哲学探究』とは? わかりやすく解説

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後期:『哲学探究』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 16:45 UTC 版)

ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン」の記事における「後期:『哲学探究』」の解説

詳細は「哲学探究」を参照 ウィトゲンシュタイン主著は『論考』である(まとまった著作はこれしか出版していないので当然である)が、今日では『哲学探究』も広く知られている。『探究』は1953年彼の死後2年経ってようやく出版された。2部分けられた(厳密にいうと、2つ遺稿が『哲学探究』という1つの題のもとに刊行された)うちの第1部番号つけられ693断章)の大部分は、1946年には出版直前までこぎ着けていたが、ウィトゲンシュタイン自身によって差し止められた。第1部より短い第2部遺稿管理人であり『探究』の編纂者でもあった分析哲学者エリザベス・アンスコムラッシュ・リーズによってつけ加えられた。 ウィトゲンシュタイン解説者たちの間ですべての見解一致することはまずありえないとしばしばいわれるが、とりわけ探究に関して紛糾極め議論百出様相呈している。『探究』のなかで、ウィトゲンシュタイン哲学実践する上で決定的に重要であると考え言語の使用についての所見述べる。端的にいうならば、われわれの言語言語ゲーム(in sich geschlossene Systeme der Verständigung、言語的了解行為という自己完結した諸体系)として描いてみせる。意味の源泉を「言語の使用」に帰するこうした見解は、意味を「言葉からの表出」とする古典的言語学観点はもちろん、『論考時代ウィトゲンシュタイン自身考え方からも大きくかけ離れている。 後期ウィトゲンシュタインの最もラディカル特徴は「メタ哲学」である。プラトン以来およそすべての西洋哲学者の間では、哲学者仕事解決困難に見え問題群(「自由意志」、「精神」と「物質」、「善」、「美」など)を論理的分析によって解きほぐすことだという考え方支配的であった。しかし、これらの「問題」は実際のところ哲学者たちが言語使い方誤っていたために生じた偽物問題にすぎないウィトゲンシュタイン考えたのである言語日常的な目的に応じて発達したものであり、したがって日常的なコンテクストにおいてのみ機能するのだとウィトゲンシュタイン述べる。しかし、日常的な言語日常的な領域超えて用いられることにより問題生じる。分かりやすい例をあげるならば、道端で人から「いま何時ですか?」と聞かれても答え戸惑うことはないだろう。しかし、その人続けて「じゃあ、時間とは何ですか?」と尋ねてきた場合には話が別である。ここで肝要な点は、「時間とは何か」という問いは(伝統的な形而上学コンテクストにおいてはたえず問われてきたものの)事実上答えもたない——なぜなら言語思考可能性決定するものだと見なされているから——ということである。したがって厳密にいうとそれは問題たりえていない少なくとも哲学者かかずらうべきほどの問題ではない)とウィトゲンシュタインはいう。 ウィトゲンシュタイン新し哲学的方法論には、形而上学的な真実追究のために忘れ去られ言語慣用法について読者想起させることが必要だった一般には、言語単独ではなんら問題なく機能するということ要点である(これに関して哲学者による訂正を必要としない)。このように哲学者によって議論されてきた"大文字問題"は、彼らが言語および言語現実との関係について誤った観点もとづいて仕事をしていたためにもたらされたのだということを彼は証明しよう試みた歴代西洋哲学者は人々から信じられてきたほど「賢い」わけではないのだ、彼らは本来用いられるべきコンテクスト離れて言語用いたために言語混乱に陥りやすかっただけなのだと。したがってウィトゲンシュタインにとって哲学者本務は「ハエ取り壺からハエ導き出す」ようなものであった。すなわち、哲学者たちが自らを苦しめてきた問題結局のところ「問題ではなく、「休暇取った言語」の例にすぎない示してみせることである。哲学者哲学的命題を扱う職人であるよりはむしろ苦悩混乱解決するセラピストのようであるべきなのだ。

※この「後期:『哲学探究』」の解説は、「ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン」の解説の一部です。
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