形式番号体系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 08:52 UTC 版)
ドイツ鉄道の車両番号は、客車・貨車を除き、「103 222-6」のように、「形式番号3桁 製造番号3桁-チェックディジット1桁」の7桁番号で示される。 この番号体系は、1968年に当時の西ドイツ国鉄が、車両をコンピュータ管理するために制定した体系で、それが現在に引き継がれている。なお、旧東ドイツ国鉄の番号体系は、旧西ドイツ国鉄の番号体系とは異なっていたが、旧東ドイツ国鉄の車両についても、1992年に旧西ドイツ国鉄の番号体系が導入されることになり、その際、大規模な形式番号の変更が実施されている。 具体的には、以下の7桁の番号を持つ。 AAA BBB-C AAAは形式番号、BBBは製造番号、Cはチェックディジットである。製造番号とチェックディジットの間は-で結ぶ。 形式番号 (AAA) の概要は以下の通り。 000~099: 蒸気機関車 100~199: 電気機関車 200~299: ディーゼル機関車・内燃機関車 300~399: 小運転・入換用機関車 400~499: 電車 500~599: 蓄電池車(1950年代に西ドイツで大量に製造されたが、既に引退) 600~699: 気動車 700~799: 事業用車・レールバス 800~899: 電車や蓄電池車の中間車・制御車・付随車 900~999: 気動車やレールバスの中間車・制御車・付随車 製造番号 (BBB) は、001から始まる一連の番号である、ただし番台区分がある場合は、100の位で区別することもある。例えば103型電気機関車(量産型)のように、101から始まるような事例もある。 チェックディジット (C) は、以下の方法で計算される。 左から1桁目、2桁目・・・6桁目とする。7桁目はチェックディジットそのものである。 奇数桁目(1桁目・3桁目・5桁目)の数字に、それぞれ1を乗ずる。 偶数桁目(2桁目・4桁目・6桁目)の数字に、それぞれ2を乗ずる。 2.と3.の6つの乗算の計算結果で出てきた「数字」を全て加算する(「数」ではなく「数字」を足す)。 4.で得られた加算結果の値以上で、最も近い10の倍数を算出する。 5.で得られた10の倍数から、4.で得られた加算結果を減ずる。 6.で得られた減算結果が、チェックディジット (C) である。 例えば、103型電気機関車の198号機の場合、1*1=1, 0*2=0, 3*1=3, 1*2=2, 9*1=9, 8*2=16。1+0+3+2+9+1+6=22(「数字」を加算するので、1+0+3+2+9+16=31ではない)。22以上で、22に最も近い10の倍数は30。30-22=8。よってチェックディジットは、8。→「103 198-8」となる。 客車・貨車の車両番号は、形式番号(例えば、Avmz108型)と、ヨーロッパの鉄道で共通に使用されている12桁の「UIC番号」(例えば、"73 80 19-90 720-8")で管理されている。 なお、2007年1月より、車両番号体系の管理が、ドイツ鉄道から連邦鉄道庁 (EBA: Eisenbahn-Bundesamt) に移管された。これに伴い、客車・貨車以外の車両(機関車・電車・気動車など)についても、12桁の「UIC番号」が導入されることとなった。これは、オープンアクセスの拡充で、ドイツ鉄道以外にも多数の鉄道事業者が参入したことにより、各社でまちまちだった番号体系を一元管理し、車両の融通がきくようにする目的がある。 新番号体系では、以下のようになる。 9x 80 yAAA BBB-C *-** 1桁目 (9): 「動力車」を意味する(UICによって規定) 2桁目 (x): 車種(UICによって規定)。1=電気機関車(最高速度100km/h以上)、2=ディーゼル機関車(最高速度100km/h以上)、3=電車(最高速度190km/h以上)、4=電車(最高速度190km/h未満)、5=気動車、6=特殊用途車、7=電気機関車(最高速度100km/h未満)、8=ディーゼル機関車(最高速度100km/h未満)、9=保守用車両、0=その他(蒸気機関車、ハイブリッド車など) 3-4桁目 (80): 国番号(UICによって規定)。ドイツは"80"。 5桁目 (y): 各国の鉄道事業者によって割り当てられる番号。0=電車(最高速度190km/h未満)・気動車、1=ディーゼル機関車(最高速度100km/h以上)、2=ディーゼル機関車(最高速度100km/h未満)、3=入換・小運転用ディーゼル機関車(最高速度100km/h未満)、5=電車(最高速度190km/h以上)、6=電気機関車(最高速度100km/h以上)、7=電気機関車(最高速度100km/h未満)、8=入換・小運転用電気機関車(最高速度100km/h未満) 6-8桁目 (AAA): 旧番号体系(7桁)における形式番号 9-11桁目 (BBB): 旧番号体系(7桁)における製造番号 12桁目 (C): チェックディジット "*-**": 所属国・事業者の略文字が入る。例えばドイツ鉄道所属なら、"D-DB"となる。 チェックディジットの計算方法は、1~11桁目の数字に対して、奇数桁目の数字に「2」、偶数桁目の数字に「1」をそれぞれ乗じ、11個の計算結果で得られた「数字」(「数」ではない)全てを加算する。その数字を、その数字以上で最も近い10の倍数から減じて、チェックディジットを得る。 例えば、旧番号体系「151 051-0」は、新番号体系では「91 80 6151 051-0 D-DB」となる。 旧番号体系と新番号体系で、7-12桁目(形式番号・製造番号・チェックディジット)が変わらないように、2桁目・5桁目の数字を割り当てているが、気動車のみ例外で、旧番号体系と新番号体系では、チェックディジットの値が変わる。
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